密林の刺客
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で幕を下ろすとアメリカや中国といった諸外国も介入し泥沼の内戦状態となった。十年以上こういった状況が続いたが遂に国連の仲介により内乱に終止符が打たれた。国連の監視の下選挙が行われる事となったがこれに反対する勢力があった。
クメール=ルージュ、すなわちポル=ポト派であった。
かっての悪行が裁かれる事を怖れた彼等は選挙を妨害せんとした。その為にはテロをも辞さなかった。
しかし国民の支持を全く得られない彼等は孤立しジャングルの奥深くに逃げ込んだ。討伐の軍隊が差し向けられ指導者であるポル=ポトも死んだ。ジャングルの中で朽ち果てようとしているのが実状である。
いまだ政情は不安定である。しかしかっての屈託のない笑顔が戻り始めている。悪夢は去ろうとしている。
そのカンボジアで最も有名なのがアンコール=ワットである。ジャングルの奥にあるこの石造りの仏教寺院は国旗にも描かれている程でありカンボジアの象徴と言える存在である。古来より多くの人々の崇拝の対象となっている。
「こうして見ると所々壊れたままになってるね」
アンコール=ワットを見回りながらまさひこが言った。足下には寺院の欠片や石の仏像の頭が転がり石畳の間からは草が生い茂っている。
「内乱が長かったせいね。今修繕しているらしいけれどかなり手間がかかっているそうよ」
リツ子が言った。欠片につまずき転びそうになる。
「リツ子さん、気をつけて」
アマゾンがそれを受け止める。
「あ、有り難う」
少し顔を赤らめた。
「けれどカンボジアまで来たかいがあったね。凄い建物だよ」
「ええそうね。アマゾンはどう?」
「アマゾン石の建物好き。南米にも石の建物いっぱいある」
「そういえばそうね。マヤのピラミッドとか」
「森の中に石の建物ある。これとても神秘的。いい」
アマゾンは満足そうである。彼はジャングルの中で石の文化を持つインカの末裔達に育てられたからであろう。
「こういうの見ると落ち着く。アマゾンこの建物気に入った」
「意外ね、ふふふ」
談笑しながら三人は寺院を見て回る。政情が影響しているのか三人以外には観光客もまばらである。外れに来た時だ。
「ん!?」
不意にアマゾンが動きを止める。表情が一変しまさひことリツ子の前に飛び出た。
「!?」
「どうしたの!?アマゾン」
そこへ数本の槍が飛んで来た。アマゾンはその槍を全て叩き落した。
「フン、この程度は通用しないか」
「誰だっ!?」
森の中から戦闘員達を引き連れ一人の男が出て来た。マンモスの様な生物の骨で造られた兜を被った中年の男である。険のある顔付きが何処かしら不吉な印象を与える。
青いタイツの様な服を見に纏いその上から豹に似た柄の毛皮を着け骨のベルトで止めている。首や腕には
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