密林の刺客
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けなかった。一瞬でも隙を見せればそれで心臓が撃ち抜かれる事がわかっていたからである。
それはブランクも同じであった。下手に撃つとかわされる。それは死を意味する。
彼等の他は誰もいない。鬱葱と茂り日もささぬ密林を重苦しい静寂が支配する。
時間だけが過ぎていく。だがその過ぎた時間が一瞬なのか永遠なのかはわからない。二人には時が過ぎている事さえも関係が無かった。
先にしびれを切らしたのはブランクであった。ライフルを持つ右肩が僅かに動いた。
アマゾンはそれを見逃さなかった。上へ跳んだ。
ブランクのライフルからナイフが放たれる。だが空を飛ぶアマゾンには当たらない。
ライフルを捨てる。飛び掛って来るアマゾンへ拳を打ちつけんとする。
だがアマゾンは一撃引っ掻いただけであった。しかしブランクの鉄の鎧の前に阻まれる。それが失敗すると密林の中へ逃げ込んだ。
「おのれっ、何処だ」
左右を見渡す。だが気配すら感じられなかった。
「・・・俺を獲物に仕立てるつもりか」
自分の防御力と戦闘力には自信がある。鉄の鎧にはあの鰭さえ通用しないと確信している。先程も怪人すら倒す爪を退けた。
「来い。俺の鉄の身体の前には貴様の爪も牙も鰭も通用せぬぞ」
自信に満ちた声で言った。この密林の中の何処かに潜んでいるアマゾンを挑発し自身の力を誇示する為だった。
しかし彼は自分の同僚達が何故敗れていったのか学ぶべきであった。そうすれば油断しなかったであろう。
後ろから物音がした。不意にこちらへ襲い掛かって来る。
「そこか!」
右肩を突き出しチャージを仕掛ける。一撃で吹き飛ばすつもりであった。
「な!?」
だがそれはアマゾンではなかった。赤いボディと緑の両眼、大きな背鰭を持つ奇妙なマシン、ジャングラー。アマゾンの愛車であった。
「くっ、謀ったか」
苦しい呻き声にも似た怒りの声を出す。この時彼は自分の運命を悟った。
「ケケーーーーーーーッ」
頭上の木の上からアマゾンが叫び声と共に急降下して来る。右足をこちらに向けられている。
避けられなかった。受けるしかない。この場でブランクが出来る事は最も堅胸で受け止める事だけだった。
アマゾンのキックがブランクの胸を撃った。凄まじい衝撃が密林に響き渡る。
アマゾンは着地した。ブランクはまだ立っていた。だがゆらりと体勢を崩すと片膝をついた。
「グッ、衝撃までは抑えられなかったか・・・・・・・・・」
急所こそ外したもののダメージは大きかった。キックの衝撃が容赦なく胸を撃ったのだ。
「今まで見なかったジャングラーを奇襲に使うとはな。戦術でも俺の負けか」
アマゾンは身体をこちらに向けてきた。
「・・・止めを刺すつもりか。いいだろう、俺の負けだ。好きにするがい
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