”Lullabye ”
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』
「うっし! りゃあ!」
ビーストは勢いよくダイスサーベルを振り抜く。
すると、五体の猛牛がフロストノヴァへ突撃していく。黒い氷の弾丸を弾きながら、フロストノヴァまで寸前に迫ったところで、その体は氷となり粉々になっていく。
___その道から___
『ファルコ ゴー』
___逃れはしない___
オレンジの風を纏ったビースト。
ハヤブサの力を使い飛翔、ビーストがいた場所に黒い氷山が鎮座する。
そのままビーストは、黒い弾丸を避けながらフロストノヴァに接近。だがフロストノヴァは、即席で氷の刃を造り出し、その手に握る。
___夜のとばりの奥には___
氷の剣で、ビーストのダイスサーベルを受け止めるフロストノヴァ。みれば彼女の右手には、すでに冷気が溜まり込んでいる。
___鋭く光った 人に___
「っ!」
歌いながらだというのに、フロストノヴァの動きには全く鈍りはない。
ビーストは慌ててファルコマントをなびかせ、フロストノヴァの攻撃に対して防御態勢を取る。
だが。
___子守唄を君に___
「がっ……!」
ファルコマントを貫通し、膨大な冷気がビーストの全身を貫く。
膝が揺れる。さらにその隙を逃さず、フロストノヴァはビーストのマントを取り払い、その胸元に直接手を当てた。
____このままおやすみ___
白い冷気が彼女の手から放たれ、ビーストの全身が白い霜に覆われる。
___大地はゆりかご___
「ぐあ……っ!」
金よりも白の割合が増えてしまったビースト。
フロストノヴァが歌う歌詞の通り、眠気までもがビーストを支配していく。
___まつげをさあ伏せて___
数回体を震わせると、全身を守るビーストの鎧が解かれていく。
___この歌を君だけに___
変身が解除され、コウスケの生身の肉体に直接氷がへばりつく。
「や……べ……えっ!」
膝を折り、倒れかけたコウスケは、それでもと目の前のフロストノヴァを見上げる。
だが、その視界が何度も白いもやに覆われてしまう。
___夢見の国へ___
「……意識が……持たねえ」
___目覚めの時まで___
その一節を終えたフロストノヴァが、きっと自らの口を結ぶ。自らの手袋を外し、その手を伸ばしてくる。
彼女の手。この戦いの中で、彼女の体温が凍傷に成り得るほど低いことが分かっている。
能力を直に受ければ、どうなるだろうか。
身動きが取れず、体温が低くなっていく。彼女の子守歌に、意識が薄れていくコウスケは、なすすべなく彼女の手が頬に触れるのを待つしかなかった。
そして、悟った。
___ああ……オレは……ここまでだ___
フロスト
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