青き江の妖花
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れぞれ手に得物を持ち十重二十重に取り囲んでいる。
神は右、滝は左へ移った。そして迫り来る戦闘員達を次々と倒す。ある者は手摺りにもたれる様にして倒れある者は最初の者と同じく楼から投げ飛ばされる。
やがて全ての戦闘員が倒された時だった。辺りを警戒する神に対し何者かが吹き矢を放ってきた。
「誰だっ!」
吹き矢が飛んで来たのは楼の下からだった。そこへ目をやると十名程の戦闘員達と魔女参謀がいた。
「女の幹部か」
「その通り、ジンドグマきっての妖術の使い手魔女参謀、以後憶えてもらおう」
神と滝は魔女参謀達へ向けて飛び降りた。たちまち数人の戦闘員が襲い来る。
「そうはさせないっ!」
「行くぞっ、魔女参謀!」
剣を手に襲い来る戦闘員を肘で倒し投げ飛ばす。投げ飛ばされた戦闘員の一人が庭園の池へ落ち家鴨が逃げ飛び亀が水の中へ潜っていく。
二人は退く魔女参謀を追う。だがその前に新手の戦闘員達が得物を手に次から次へと現われて来る。
戦闘員達を倒しつつ二人は魔女参謀を追い詰めんとする。やがて二人は蛇山を出麓の誰もいない広場に出た。
「ここで戦うつもりか?」
二人はこちらへ向き直ってきた魔女参謀と対峙している。かってジンドグマでその知略を知られた者を前にしているだけに二人は紀を張り詰めている。
「さあ、どう来るつもりだ」
「怪人か罠か、それとも貴様自身が相手してくれるか」
少しずつ間合いを詰めようとする。だが魔女参謀はその二人に対し不敵に笑った。
「心配するな、私は貴様等と戦うつもりは無い」
「何っ、では何故黄鶴楼で襲撃を掛けて来たのだ」
「あれはほんの小手調べ。二人共噂に違わぬ腕前。これからが楽しみな事。特に神啓介今回はそなたに伝言を伝えに来た」
「何、伝言!?」
神はその言葉に顔を顰めた。
「そうだ。アポロガイストからな」
「アポロガイスト!?」
彼はその名を聞いて表情を一変させた。
「もうすぐそなたの前に現われるとな。その日を楽しみにしていると」
魔女参謀はそう言うとマントを翻し姿を消した。
「アポロガイストが・・・・・・」
「知っている奴のようだな」
滝は怪訝そうに聞いた。
「ええ。俺との勝負に異常なこだわりを持っている奴でしてね。おそらく正々堂々と正面から闘って勝ちたいのでしょう」
神はそう言いながらその男の姿を脳裏に思い浮かべた。
「成程な。ライバルか。じゃああんたも全力で倒さないとな」
「ええ」
滝は神の横顔を見た。そこには対決を前に一人静かに燃える男の顔があった。
暫くして二人は敵の作戦の意図を掴んだ。役から電話があったのだ。
「どうした?」
“滝さん、大変な事が解かりました”
その声は普段と変わらず冷静なもので
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