青き江の妖花
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成功したのだ。
だがこの時止めを刺さなかった事がゴッドにとって後々の災いとなった。かろうじて一命をとりとめた教授はその最後の力を振り絞り息絶えた息子を救うべく改造手術を施した。そしてその手術を終えるととある小島に密かに建造していた秘密基地『神ステーション』に自身の意識と人格を移動させて息絶えた。目が覚めた息子神啓介は通信機からの父の声に告げられる。海と陸を自由に動く事の出来る深海用改造人間=カイゾーグ、仮面ライダー]として生まれ変わったのだと。
父の残したカイゾーグ用マシンクルーザーに乗りライドルスティックを手に彼は父を殺し世界を闇に覆わんとするゴッドと戦い続けた。謎の協力者水城霧子とかっての恋人涼子の暗躍、二人の真の想いと死。ゴッド第一室長アポロガイストとの死闘、巨人キングダークとのRS装置を巡る攻防、X3によるマーキュリー回路セット等を経て彼は遂にゴッドを倒した。ゴッド壊滅後彼は他のライダー達とおなじく日本を離れ表向きは水生生物学者として世界を回り悪と戦い続けた。
「武漢までどの位だい?」
神は長江の雄大な景色を眺めつつ舟を操る船頭に尋ねた。
「そうですねぇ、この分だと昼過ぎには着きますよ」
船頭が漕ぎながら答えた。小柄ながらよく締まり日に焼けた肌を持つ初老の男性だ。何処か飄々として好い印象を受ける。
「そうか、思ったより早く着くな」
「近頃江の流れが速いですからね。旦那は確か日本から来なすったんですよね。こう言っちゃ何ですけれど旦那のお国じゃあこんなにおっきな江はないでしょう」
「うん。これだけの江はねえ。やっぱり長江は凄いね」
「そうでしょう。まあこの江があるからあっし等も飯が食えるってもんです」
「ははは、そうだね」
船頭と朗らかに談笑するうちに波止場に着いた。
「楽しい旅を有り難う。ちょっと寄ってみたいところがあるんだ」
神はお金を渡しつつ船頭に言った。
「というと黄鶴楼ですかい?」
「う〜〜ん、それもいいけれどこの辺りの景色が気に入ってね。ちょっと見て回りたいんだ」
二人は手を振って別れを告げ途を別にする。小舟が遠く水平線に消え神の目には幻想的な景色が映し出されていた。
青く海の如き江の左右に霞を漂わせた山々が連なる。その木々は遠目からは限りなく黒に近い紫である。小舟が静かに行き来し水面に波紋を形づくる。フゥッと吹いてきた風が水の香りを運んで来る。神はその景色と香りに完全に魅せられている。
「噂には聞いていたけれど凄いな。水質調査の依頼できたけれど呼ばれてラッキーだったな」
古来より多くの詩人や画家にその美を謳われただけはある。そう感じた。ふと彼ののうりにある詩人の事が浮かんだ。
「この長江に浮かんでいる月を取ろうとした詩人がいたな。確か・・・・・・李白だったな
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