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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
廃墟の巨人
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鳥を落とす勢いで勢力を拡大し東ローマ帝国も滅ぼしこの地の覇者となった。この大帝国による支配は長い間メソポタミアと中東に平和と繁栄をもたらした。
 多くの民族がこの地において興亡を繰り返したがユダヤ人達もそうであった。
 ローマにエルサレムを追われ流浪の民となった彼等は世界各地に散った。
 彼等は欧州にも散った。金融業等を営みつつ生活を送っていた。知識人や政治家となった者も多い。異教徒である彼等に対する偏見は強く事あるごとに迫害と弾圧が加えられた。
 彼等に強い団結心と望郷の念が生まれたのは自然なことであった。これはやがて自らの国を持とうという思いへと変わる。いわゆるシオニズムである。長い間強勢を誇ったオスマン=トルコも栄枯盛衰の理には逆らえず第一次大戦での敗北により崩壊は決定的となった。対戦中にイギリスと協約を取りつけていたユダヤ人達はエルサレムにおいて自分達の国を建国すべく入植を開始した。
 しかしイギリスの舌は二枚舌であった。この地に住むパレスチナ人達の独立も密約していたのであった。
 ユダヤ人のこの地への入植が進むにつれ対立の芽が育つようになった。
 ビリヤードの球の様なものであろうか。一時大戦により崩壊したドイツ帝国に魔性の独裁者が出現した。彼の名はアドルフ=ヒトラー。何もかもが崩れ去っていたドイツを強力な全体主義国家として復活させた彼は同様にユダヤ人に対する弾圧を開始した。奇しくも同じ全体主義国家であるソ連の悪夢の独裁者ヨシフ=スターリンも政敵トロッキーへの敵愾心からか同じ様にユダヤ人を弾圧していた。
 これ等の暴風の様な迫害を避け欧州を出るユダヤ人は後を絶たなかった。多くは故郷であるカナンの地を目指した。
 人類の歴史にその禍々しい名を残す全体主義国家によって多くの同胞の命を奪われ生き残った者の多くも死の恐怖に曝されたユダヤ人達はもう躊躇しなかった。二度目の大戦の後この地において自らの国、イスラエルを建国した。ユダヤ人の悲願がここに達成されたのである。だがイスラム教徒、とりわけパレスチナ人の面子は丸潰れである。アラブの全てのイスラム国家がイスラエルに対し一斉に宣戦を布告した。長きに渡る中東の戦乱がここに幕を開けた。
 数的には圧倒的に優位であったイスラム諸国であったが確固たる連携も強力な指導者もおらず敗北を重ねた。次第にアラブ人の中でイスラエルの存在を既成事実として認めようという考えを持つ者が現われてきた。
 エジプト、サウジアラビア、ヨルダンといったイスラム諸国でも穏健派に属する国々がイスラエルと国交を結んでいった。強硬派の国々も表向きは強硬な発言を繰り返すものの矛は収めるようになった。大々的に干戈を交える事はなくなった。
 国同士の衝突こそなりを潜めたが一人一人のレベルでイスラムの大儀とイスラエル打倒の旗を掲げる者達が
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