廃墟の巨人
[3/26]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だが奴の言う事は道理。岩石男爵だけではライダーマンの知略の前に敗れるのは目に見えている。・・・・・・度し難い馬鹿だがあれはあれで使いようがある。手駒は大事にしなくてはな」
そう言うと男は羽織っていたマントを脱ぐとそれを上から被った。するとマントだけが地に落ち男は何処かへ消えていた。
「奴も動き始めている頃だな。まあ手駒を粗末にするわけにもいくまい」
先程の白服の男が足下に白い煙が立ちこめる真っ暗闇の部屋で赤い円卓に座していた。
「では俺も手を打たせてもらおう。いよいよとっておきのクイーンに働いてもらう時が来た」
カードを切りテーブルの上に一枚、また一枚と置いていく。その真中のカードを手に取った。
「ハートのクイーン、これでよし」
指にスナップを効かせ手首を捻っただけでカードを上に投げる。カードは放物線を描いて回転しつつ地に落ちた。
「イーーーーッヒッヒッヒッヒッ」
カードが変化し不気味な笑い声と共に誰かが立ち上がって来た。
「お呼びですか?」
赤い双眼が暗闇の中に光った。
「うむ。少しばかり働いて欲しいのだ」
「お安い御用です。イヒヒヒヒヒ」
再び不気味な笑い声が木霊する。暫しの話し合いの後杯を重ね当てる音がし二人の姿は消え去っていた。
古来より木と地を巡りメソポタミアの血では争いが絶えなかった。ヒッタイト、アッシリア、バビロニア、ペルシア等多くの帝国が興亡した。『海の民』と呼ばれる謎の民族やフェニキア人、ミケーネ人等海洋民族もいればエジプト人やペリシテ人といった陸の民族もいた。ユダヤ人もいた。多くの民族がこの荒涼とした地において国を造り滅びそれを繰り返していた。
マケドニアのアレクサンドロス大王の遠征以後は彼の遺臣達が国を持ったがやがてローマに飲み込まれていく。そのローマも宿敵ペルシャとの終わりなき争いに入りゼノビアの台頭を招いてしまった事もある。
ローマが東西に分裂し東ローマ帝国となってもそれは変わらなかった。この地を巡ってペルシャとの争いは続いた。とりわけユスティニアヌス帝とホスロー一世の対決は有名であろう。やがてこの地に大変革が訪れる。
預言者ムハンマドがイスラム教を興し瞬く間にこの地を席巻したのである。その勢いは止まる所を知らず中央アジアや北アフリカ、そしてイベリア半島にまで広がった。さしもの東ローマ帝国も劣勢に追いやられローマ=カトリック教会に援軍を求めた。
これに対しローマ=カトリック教会は十字軍でもって応えた。イスラム諸国と彼等の死闘が繰り広げられそれが約二百年間続いた。モンゴル帝国や東ローマ帝国も交えこの地は混沌とした状況になった。
十字軍もモンゴルも去り東ローマ帝国も斜陽になるとオスマン=トルコが台頭した。強さと寛容さを併せ持ったこの国は飛ぶ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ