暁 〜小説投稿サイト〜
仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
廃墟の巨人
[17/26]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
こにいる事は国連のごく一部の者しか知らない筈である。そう、知らない筈だ。しかし彼はベイルートに降り立って以来二度も襲撃を受けている。これは国連内に情報をリークしている者がいるか余程の情報網を持っている組織があるか。結城は後者だと確信していた。前者である可能性も無きに非ず。しかし彼を襲ったのは全て改造人間であった。彼の異形の者達を造り出し得る者、その存在を結城は一瞬たりとも忘れた事は無かった。
 (もしやまた新たな組織が)
 かって彼はデストロンという世界征服を企む悪の組織に所属していた。ヨロイ元帥に陥れられ無実の罪により殺されかけたが部下達に救出され以後ライダーマンとしてヨロイ元帥、そしてデストロンと戦った。その時の記憶は今でも残っている。デストロンにいた時はデストロンこそが絶対の正義と信じ首領と組織に忠誠を誓っていた。しかしデストロンを出その実態を目の当たりにし彼は真実の正義に目覚めたのだ。だが過去にデストロンでその野望の為に働いていた事は消えない。それは彼が永劫に背負っていかねばならない十字架なのだ。償い、正義、真実。彼の心を司る神は厳格な神である。だからこそ彼は悪と戦うのだ。
 彼の身体は他のライダーと比べて脆い。戦闘能力も高くない。それでも彼は己が命を賭して悪と戦い続けるのだ。
 (だとしたら察しがつく。この紛争を陰で煽っている者達の正体が)
 新聞を畳んだ。コーヒーを飲み干すとチップとコーヒー代を払い店を出た。
 (両者の構想は共に疲弊を招く。そうすればそこに付け込む隙が出る。そうでなくとも戦乱こそ奴等の最も好むところだしな)
 アメリカ大学の裏手にある公園へ向かう。緑の生い茂る美しい公園である。
 森林の中へ入っていく。誰からも見られない程深い場所へ行くと足を止めた。
 「出て来い、さっきから俺をつけている事は判っている」
 木の陰から二人の男が現われた。
 「インターポールの滝和也、そして日本の警察庁から出向して来ている役清明警部補だな」
 「へえ、やっぱり凄いね。もう俺達の事を調べていたのか」
 滝は人懐っこい笑みを浮かべながら言った。
 「貴方達の事は風見から聞いています。俺と接触する為にこのベイルートへ向かっていると」
 「流石ですね。かってその将来を渇望されただけの事はある」
 役の言葉に結城は眉をピクリ、と微かに動かした。しかしその言葉尻には嫌味や悪意は感じられなかった。何か別の意志が感じられたのを彼は内心妙に思った。
 「二人共ここへ来た目的は判っています。この街を根城にイスラエルとパレスチナの紛争を陰で煽動する何者かを倒す為に来ている俺に協力を申し出る事」
 「その通りです。黒の森、ベナレス、そしてシンガポールでの事はご存知ですね」
 「ええ。特にシンガポールの事は。ドクトル=ゲーが指揮を執っ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ