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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
廃墟の巨人
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れた。幼い頃からその声と容姿の美しさを認められソプラノ歌手となるべく育てられた。その期待にそえ十代にしてウィーン国立歌劇場等欧州に名立たる歌劇場で歌うようになった。誰もがその将来を渇望する天才歌手であった。
 このままいけばそうなったであろう。しかし時代がそれを許さなかった。世界を飛び回る彼女に目をつけたハンガリー当局が彼女をスパイとしても育成しはじめたのだ。
 彼女はそちらの方面の才能もあった。それを遺憾無く発揮し諜報、破壊工作、そして暗殺と任務を次々に成功させていった。やがて世界各国の諜報機関は姿の見えぬこのスパイの存在に恐れをなすようになった。その正体が美貌のオペラ歌手であるとは誰も想像だにしなかった。
 スパイ活動を続けるうちに彼女は破壊工作や暗殺に心を傾けるようになり歌への情熱は薄れていった。その時に現われたのがテラーマクロであった。
 彼女はテラーマクロの誘いを受けドグマに入った。そしてメガール将軍等と共に大幹部の一人に任じられた。
 しかし彼女は元々陽性の性質であり陰気なテラーマクロとはそりが合わなかったのだろう。悪魔元帥がテラーマクロと衝突し喧嘩別れすると彼についた。そしてジンドグマ四幹部の死鳥となったのだ。スパイ時代とおなじく破壊工作や暗殺等を得意とするジンドグマきってのテロ活動の専門家である。
 「あえて騒ぎを起こしてライダーマンを誘い出すのよ。多分岩石男爵の方も動いているからその戦力と合わせてライダーマンを倒すの。どう、いい作戦でしょ」
 「うむ、奴が感づいているのを利用する。そして岩石男爵も知らず知らずのうちに利用する、か。面白そうだな」
 「そうでしょ。ならそれで決まりね」
 「うむ。ところで我等の本来の作戦はどうなっている?」
 「上手くいっているわ。イスラエルもパレスチナも互いを罵り合い報復に明け暮れているわ。裏で私達が焚きつけているとも知らないで」
 「そうか。それで良い」
 ヨロイ元帥はその話を聞き満足げな笑みを浮かべた。
 「双方が争うことにより戦火はさらに拡がる。そしてそれによる混乱が極みに達したその時こそ我等が動く時だ」
 両者は互いに笑い合う。不気味な笑いが地下に木霊した。

 ファイアーコングを倒した結城は大トルコ宮からイスラム地区である西ベイルートへ向かっていた。ベイルートはいスラム教徒とキリスト教徒がそれぞれの地区、東西に分かれて住んでいる。
 西地区のハムラシチーと呼ばれる一帯は大銀行が立ち並んでいる。この街は元々は商業都市としても有名であった。
 一見この一帯はアラブ有数の商業地域であるがその陰にはよからぬ者達も潜んでいる。テロリスト達が何時その隠し持っている牙を剥くかわからないのだ。 
 結城も密かに気を張っていた。まるで何かを探しているように。
 不意に爆発が起こ
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