第百五十四話 仮面その九
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「堀内みたいになるなって言ってるよ」
「龍馬さんみたいになれって」
「それで細かいこともな」
「言わないのね」
「そうだよ」
これがというのだ。
「だからな」
「そうしたこと言わないのね」
「むしろ遊んだり部活で汚れたらな」
服がというのだ。
「それだけやったからだってな」
「いいっていうのね」
「勲章だってな」
「そうね、部活も熱心にしたら」
かな恵もまさにと頷いた。
「それだけ汚れるわね」
「そうだよな、だからな」
「かえっていいっていうのね」
「そうなんだよ」
こうかな恵に話した。
「これがな」
「うちはそうは言わないけれど」
「おじさんも言わないよな」
「服は汚れるものだって言って」
そうしてというのだ。
「言わないわ」
「そうなんだな」
「だからうちの体操服に鳴海っちの洗濯もの入れても」
そうしてもというのだ。
「私が洗って干しておくから」
「その時は頼むな」
「ええ、ただ明男の服と区別はね」
「それは自分でやるよ」
鳴海はすぐに答えた。
「俺の服だからわかるよ」
「自分の服だから」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「干してくれるなら嬉しいよ」
「洗って」
「そうしていてくれたら自分で取るから」
そうするからだというのだ。
「本当にな」
「いいのね」
「そこまではさ」
かな恵に笑って話した。
「いいよ」
「そうなのね」
「ああ、それとな」
「それと?」
「下着は特にな」
「わかるのね」
「明男もトランクスだけれどな」
それでもというのだ。
「俺のはわかるよ」
「同じトランクスでも」
「自分のものはな」
「わかるのね」
「サイズとか柄でな」
「そういえばお父さんもよ」
かな恵はここで父親のことを言った。
「自分の下着はね」
「わかるだろ」
「お父さんもトランクスだけれど」
それでもというのだ。
「やっぱりね」
「自分の下着わかるだろ」
「名前書いてなくてもね」
「そりゃ皆同じ下着だとな」
鳴海はそれならと話した。
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