暁 〜小説投稿サイト〜
ファイナルファンタジー1
38話『帰還』
[2/2]

[8]前話 [9] 最初
スンが朧気に目覚める。

「……よぉ、気がついたかよ。気分、どーだ? なんか持って来てほしいモンとか、あるか?」

「いや………今は、何も…………。まだ、動けそうに、ない」

「そりゃそーだろうな。……あれから二日経ってっけど、あと三日は絶対安静だそうだぜ」

「そう、か。………シファと、ビルは」

「床に布敷いてそこで寝てるって、順番にオマエの看病してンだ」

「すまない………戻ってからもこうして、世話ばかり掛けてしまって」

「ンなこた気にすんな。……今はとにかく、何も考えねェで寝とけ。な?」

「……………ありが、とう───」

 ランクの言葉を聞き受け、どこか安心したように微笑んだマゥスンは再び深い眠りにつく。

「(うはッ、今一瞬笑ったか……?? しかも、アリガトウって…………)」


「───先程の彼の様子からすると、精神体として異世界で少しは“人間らしさ”というものを学んだみたいね」

「ゲッ、テメェいつの間に……!」

 気配すら感じさせず、女賢者エネラが唐突に現れていた。

「アラ……余り声を上げると彼がゆっくり休めないじゃない。……身体の機能が正常に戻れば、〈呪い〉の症状まで再発するのは否めないのよ」

「 …………ッ!!」

 妖艶なエネラの絡み付くような独特の話し方に痛い所を突かれ、ランクは言い返せなくなる。


「これから少しづつ、アナタ達……アナタにとってマシになっていくにしても、ワタシにとっては物足りなくなるわね」

「あ、アンタはコイツと……どーゆう関係なンだよ」

「……そんなにワタシと“彼”の仲が気になるの?」

「ち、ちげェよッ」

 否定しようにもしきれないランクに冷笑を浮かべるエネラ。


「そうね……アナタにとっては“由々しき仲”とでも言っておきましょうか。───付け加えるなら、アナタの知らない彼を、ワタシは“知っている”という事ね」

「………………ッ」

「教えてあげましょうか。アナタが“彼”に対して抱いている、最大の疑問を────」


「要らねェよ、そんなん」

「アラ……強がっちゃって。そろそろ、失礼するワね」



[8]前話 [9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ