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星河の覇皇
第八十七部第五章 外の世界の動きを無視しその四十八

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「見ていません、外の世界のです」
「出来事だな」
「もっと言えば別世界の」
「自分達の世界でのことではない」
「そう考えています」
 サハラの情勢のことはというのだ。
「やはり」
「その通りだな、これはな」
「はい、連合の宿痾でして」
「他の国のことについて関心が薄い」
「それも非常に」
「連合のことなら隅から隅まで知っていても」
「一歩外に出ますと」
 連合からというのだ。
「もうそこはです」
「別世界でな」
「関心はなく」
「当然行くこともな」
「稀です、かつて中国では万里の長城から北は化外の地と呼ばれました」
 地球にあった頃の中国の話だ。
「万里の長城は即ちです」
「国の守りであるだけでなくな」
「境でした」
「中国と北の遊牧民とのな」
「それであり」
「そこから南は中国だった」
 歴代王朝の領土であったのだ、このことは漢民族か完全に漢化した民族の王朝で共通した考えであった。
「そしてそこから北は」
「遊牧民の領土でした」
「まさにその境でな」
「その北のことは動きは警戒していても」
「基本無関心だったな」
「弱めはしましたが」
 これもまたその動きを警戒してのことだ。
「ですがそこに人が行くことは」
「まずなかったな」
「その様にです」
「連合は自分達の領土の外のことは」
「ほぼ無関心です、連合市民は連合の宙図は描けます」
 それも細部までだ、これも教育の結果だ。
「ですが」
「それでもだな」
「その外は」
「マウリアやサハラの宙図はな」
「かなりいい加減です」
「大きさも形もな」
「何処にどの星系が存在し人口や産業も」
「碌に知らないな」
「エウロパにしても」 
 敵であるこの国についてもというのだ。
「その実はです」
「碌に知らないな」
「はい」
 そうだというのだ。
「それが現実です」
「そうだな、実は私も学生時代はな」
 高校まではというのだ、キロモトは高校を卒業して軍に入っている。大卒でない政治家はこの時代の連合でも少数派である。
「連合の外はだ」
「ご存知なかったですか」
「碌にな」
 八条にそうだったことを話した。
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