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世界の礎
第一話その十二

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「先はだ」
「長いのですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「果てしない」
「相当なことだったのですが」
「その相当なことがだ」
「一歩に過ぎないのですね」
「はじまりのな、私の知識はこの世界の礎を築くものだ」
「その礎造りはですか」
「これでだ」
「はじまりであり」
「まだまだ続く、そしてだ」
「そして?」
「私はこのままでいい」
 座したままこうも言った。
「別に奢侈は求めていない」
「ご自身の」
「この服とだ」
 この世界に来た時のままのスーツ姿で言った。
「住む場所もな」
「今のですね」
「家でよくな」
 そうであってというのだ。
「食事もだ」
「今のままでいいのですね」
「そうだ」
 カニに対して話した。
「別にだ」
「贅沢は望まれませんか」
「巨大な宮殿はいらない」
 自身の為のそれはというのだ。
「私自身にはな」
「あるものを用いない」
「それでいい」
 まさにというのだ。
「私はな」
「贅沢には興味がおありではないですか」
「いや、塔で得たものでだ」
 そこで得た富でというのだ。
「充分過ぎる」
「そうなのですか」
「だから国にはな」
「負担をかけることはされないですか」
「民達を用いてだ」
 義青はカニに苦い顔で話した。
「巨大かつ壮麗な宮殿を造る」
「力のある王にはです」
「よくある話だな」
「左様です」
「だがそれで多くの富と人手を用いるからな」
 そうした宮殿等を築いてというのだ。
「国への負担はだ」
「かなりのものです」
「それで傾いた国も多いな」
「はい」
 カニはその通りだと答えた。
「左様です」
「そうだな、これが神殿でも何でも同じだ」
「壮麗かつ巨大なものを」
「ああしたものを築き国を傾けるなぞだ」
 義青は軽蔑しきった口調で言い切った、そこにはそうした行為に対する価値を一切見出していない響きがあった。
「具の極みだ、しかもやがて壊れる」
「そうした神殿や宮殿も」
「そうだ」 
 まさにというのだ。
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