暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第236話:内外の戦い
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溜め息を吐いた。

「チッ……面倒臭い戦いをするくせして、なかなかガッツあるじゃねえか」

 口ではこんな事を言っているが、戦いに終わりが見えてきたのをハンスは感じ取っていた。自分は多少消耗してはいるがまだまだ戦えるのに対し、グレムリンは大分消耗している。ここから逆転できるだけの一手が無い限り、このままグレムリンはハンスに敗北する未来しかなかった。

 勿論ハンスはそれを許す様な事はしない。ここでさっさと勝負を決めるべく、ハンスはダイスサーベルを左手に持ち右手でサーベルに内蔵されているダイスを回転させた。
 サーベルからドラムロールが響き、ハンスは高速で回転するダイスを見つめタイミングを見計らって右手の指輪を使ってダイスの回転を止める。

〈ファイブ! バッファ、セイバーストライク!〉
「トドメッ!」

 ハンスがダイスサーベルを振るうと、彼の前に展開された魔法陣から5体の魔力で出来たバッファローが飛び出しグレムリンに襲い掛かる。迫る5体のバッファローを前に、グレムリンが仮面の奥で歯噛みしていると不意に事情に視線を向けた。

「ッ! 来ちゃったか……仕方ない」

 グレムリンがそう呟いた直後、バッファローが殺到し爆炎が周囲を包み込む。爆発により巻き上げられた砂埃がハンスの視界を塞ぎ、彼は咄嗟にバッファマントで砂埃から顔を守った。
 衝撃と風がマントを叩く。しかしそれは長くは続かず、直ぐに収まりハンスも顔を上げる事が出来るようになる。

 戦果を確認すべくハンスがマントを下ろして顔を上げると、そこにはセイバーストライクの余波で破壊された壁などがあるだけでグレムリンの姿は影も形も無かった。

「あ?……やった……て感じじゃねえな。逃げたか?」

 幾ら高威力の5の目によるセイバーストライクでも、流石に跡形もなく消し飛ばす様な威力はない。なのにグレムリンの姿が影も形もないと言う事は、彼は恐らく上手い事逃げおおせたのだろう。逃げ足の速さは戦ってる時以上だと、ハンスはグレムリンを嘲る様に鼻を鳴らした。

「フンッ! 張り合いのねえ……まぁいい。キャロル、今行くぞ!」

 1人残されたハンスはそう呟くと、自分が破壊した壁を抜けてキャロルが向かっていった方に駆けていくのだった。
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