第三部 1979年
戦争の陰翳
国際諜報団 その3
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裏切り者は、誰か、直ぐにわかるんだろうな」
「いや、ハイネマンの護衛は警備部が行っていたが、その日は博士の指示で引き上げています。
とはいっても彼の訪日は週刊誌で報道されていて、周知の事実。
複数の尾行があれば、今回の襲撃は可能なのです」
瀧元の発言は、官僚らしい要領を得ない物だった。
マサキは苛立ちを隠すために、煙草に火をつけた。
「特定の人物を絞るには、かなりの時間が……」
御剣は、思わず苦虫を?み潰したよう顔をした。
マサキは驚きのあまり、吸っていたタバコをもみ消す。
普段は、決して表情を変えない男が……
目を白黒させて驚き見入るマサキの前で、御剣は満腔の怒りを露わにした。
「それにしても、こんなことは初めてだ。
将軍のおひざ元で、堂々と人攫いをするとは良い度胸だ!」
「失礼します」
その時、どこからか現れた鎧衣が、複数の写真を彼らの前に示した。
それはハイネマンが誘拐される屋敷の写真だった。
「これは情報省が、仕掛けた監視カメラで密かに捉えたものですが……」
写真には黒覆面に作業服姿の男たちが、銃で武装した姿が写っていた。
マサキは我慢が出来なくなって、脇から口をはさむ。
「AK47やSKS……
東側の軍隊用の武器……
日本の武家社会では、こういう物が出回っているのか?」
この異世界の日本では、刀剣類はおろか、拳銃の個人所有が免許制で認められていた。
事情を知らないマサキは、思わず口に出したのだ。
御剣は少し思案した後、口を開いた。
「ふむ。
言われてみれば、五摂家の私設軍隊である近衛軍以外に本格的に武装した組織は聞いたことがないな」
瀧元は鎧衣の方を向く。
「鎧衣君、君の意見は……」
「闇社会でも、こういった武器を手に入れれば、普通は噂になるはずです。
外国政府のスパイか、自分の軍隊を持つ五摂家なら別ですが……」
マサキが納得したかのように呟いた。
「正論だな」
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