第八十七部第五章 外の世界の動きを無視しその四十三
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「その糧の中で暮らさねばならず」
「連合が言う様な贅沢や腐敗は」
「ないです」
ブラウンベルグは断言した。
「とても」
「それが現実です」
ギルフォードも言った。
「我々の」
「領民の税金で生きています」
「それで贅沢なぞしては」
「その中で暮らしていかねば」
とてもとだ、ブラウンベルグは述べた。
「貴族としてです」
「恥ずべきことです」
「全く以て」
「私もです、爵位を持つ貴族の財産は全てガラス張りです」
そうしたものだというのだ。
「そして生活費も」
「全てですね」
「ガラス張りです、まさかです」
「連合はですね」
「領主がその領地の絶対の支配者である」
「中世の荘園の様な」
「そうしたものかと思っていたなら」
それならというのだ、ギルフォードは言った。
「彼等の愚かさがです」
「出ていますね」
「それに他なりません、ですが現実はです」
「この通りです、私もこの服も」
シルクの豪奢なものであるがというのだ。
「全て領民の税金から予算が出ていまして」
「粗末にすることは許されていませんね」
「そうです、ですから大事に着ていて」
「何年もですね」
「着られなくなるまで」
まさにそこまでというのだ。
「着ています、また領民から献上されたものも」
「断わりませんね」
「領民からの心です」
自分へのそれだというのだ。
「それを断るなぞ」
「決して許されません」
ギルフォードも言った。
「それは法律には書かれていません」
「不文律です、ですが」
「エルロパは不文律が非常に強いです」
そうした国だというのだ。
「特に貴族は」
「その中でも爵位を持っていますと」
つまり領主であるならというのだ。
「それは強いです」
「左様ですね、若しです」
「その不文律を破れば」
「最悪の時は」
まさにというのだ。
「自害です」
「それが待っています、自害は」
ギルフォードは今はエウロパ総統として且つイギリスの侯爵の爵位を持つ貴族として述べた。彼もまた貴族の誇りを強く持っているのだ。
「貴族ならです」
「処刑を受けるなぞ」
「家門を傷付けるものなので」
それでなのだ。
「許されません」
「ですから処刑になるなら」
「その時は」
まさになのだ。
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