ダチ
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た、ゲートキーパーのサーヴァント。
ウサギが、その目を開くと同時に、香子が令呪による命令を下した。
「エレーナ。……多田君を……マスターを……!」
「いいだろう」
フロストノヴァは数歩、前に出る。手を伸ばし、コウスケに向ける。
「くっ!」
そして放たれる、氷の弾丸。
寸前で避けたコウスケの背後の扉は氷結に閉ざされ、出口は氷の壁となってしまった。
「マジかよ……!」
コウスケは壁とフロストノヴァを見比べる。
既にフロストノヴァの周囲には、無数の氷が浮かび上がっており、いつでも発射できる態勢になっている。香子と祐太はすでに階段の最下層に降りており、フロストノヴァの氷の影響外にいた。
「加賀……! お前、何のために戦ってるんだよ!? オレのサーヴァントの受け売りでな、他の参加者の願いをオレたちで代わりに叶えてやろうって思うんだがな!」
「無理よ。聖杯みたいな奇跡でも起こらない限りね!」
香子は怒鳴る。
残り一画となった令呪を見せつけながら、彼女は続けた。
「私の願い? 私自身に願いはないわ!」
「願いが、ない?」
「私の願いは……」
香子は、隣の祐太を見つめる。
「祐太のお姉さんと、その旦那さんを生き返らせることよ!」
「は、はあ!?」
彼氏彼女関係とはいえ、他人のための願い。
その選択肢を全く考えもしなかったコウスケは、一時的に体が静止してしまった。
その間に、フロストノヴァから放たれた吹雪が、コウスケの全身に炸裂。
コウスケの体は、霜に覆われてしまった。
「なんでこんなものが私にあるのかなんて分からない……」
香子の声が、遠くに聞こえる。
コウスケと彼女の間。聳える氷を通じて、香子の姿が半透明に見える。
「私みたいに叶えたい願いのないのなら、ひなちゃんに、お母さんに会わせてあげたっていいじゃない!」
「そのために、他の誰かの家族を奪うことになってもいいのかよ!」
コウスケは怒鳴った。下がった体温に鞭を撃ちながら、コウスケは無理矢理立ち上る。
「オレだってこの前、その子に会った。両親がいなくなったのは辛えだろうけど、だからって……」
「綺麗ごとばかり言わないで!」
「だったらお前は、その子を祐太から引き離すってのかよ!?」
寒さがだんだんとコウスケの体を貫いていく。
吐く息が白くなっていくのを感じながら、コウスケは香子の説得を続ける。
「今あの子がいるのは祐太のおかげだろうが……! 両親が亡くなって辛いだろうが、その後祐太と過ごした日常まで否定するんじゃねえ!」
「っ!」
「一度死んじまった人を生き返らせることなんてできねえ。聖杯に仮に出来たとして
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