ダチ
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、全部聞いたよ。聖杯戦争のこと」
「!」
その単語が彼の口から出てくる。
その事実で、何となく前後を察してしまう。コウスケは後ずさりをしないよう足を固定しながら、祐太の続きを待つ。
「お前……殺し合いなんかに参加していたんだな」
「……ああ」
頷いたコウスケは、ゆっくりと香子へ目線を写す。
彼女もまた、鋭い目でコウスケを睨み返している。
彼女が纏う雰囲気で、嫌でも突き付けられてしまう。ゆっくりと下から階段を登り、祐太の隣に立つ。
「それじゃあ……お前が……加賀が、参加者……!」
「ええ。あなたがずっと探していた……」
香子は自らの右手を差し出した。
真っ白な美しい手。ウェットティッシュでその手の甲を拭うと、その白い肌に、黒い紋様が浮かび上がってきた。
それは。
「マスターよ」
「令呪っ! 化粧か……!」
「ええ。多田君、あなたの手にあるものと同じよ」
それも二画。
おそらく、保育園で唐突に彼女が現れたのは、香子が令呪を使ったからなのだろう。
「手品をしていた松菜さんの手を見て驚いたわ。彼の手に、令呪があった。そしてあの時、あなたも松菜さんも、魔法使いと名乗った。……もう、自分がマスターだと自白してるようなものじゃない」
香子が言葉を続けていくごとに、彼女の残り二つしかない、貴重な令呪が銀の光に包まれていく。
彼女の足元に、突如として冬が訪れる。氷の花が咲き誇り、やがて講堂の内部全体が氷の世界となっていく。
「あ……ああ……」
氷に包まれていく講堂を眺めながら、コウスケはため息を付いた。
思い返せば、今までコウスケがフロストノヴァと遭遇した場所は全て、香子も関係している場所だった。
大学に現れたのは? 香子が大学生だからだ。時には、夜までいることもあっただろう。
繁華街へはなぜ訪れた? 香子がちづるの居場所として指定したからだ。
保育園で現れ、なおかつ協力的だったのは? 令呪を使い召喚したのだろう。そして香子は、コウスケたちが守るべき対象だった。
そして。
「来なさい……! フロストノヴァ!」
令呪の能力。それは、命じれば例え遠くへの瞬間移動でさえも可能とする。移動能力のないサーヴァントであろうとも、令呪を使った命令であれば空間を飛び越えることができる。
だからこそ。
この講堂が、氷点下の温度になった途端、コウスケは全てを察した。
香子の前に現れる、氷の花。それは瞬時に巨大なオブジェクトとなり、講堂の壁を氷で張り直していく。
そして。
「……」
現れた、白と灰のウサギ。
フロストノヴァは、静かに目を開き、コウスケを睨む。
「フロストノヴァ……!」
探してい
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