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金木犀の許嫁
第四十七話 須磨の海その十

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「今も」
「お家によってね」
「そうなのね」
「武家の古いお家だとね」
「それで宗教関係だと」
「お寺なんて跡継ぐ人いないと」
 それならというのだ。
「ご家族住むところなくなるから」
「お寺から」
「お寺はその宗派の場所で」
「住職さんがおられて」
「それでご家族にいられるから」
「若し跡を継ぐ人がいないと」
「住職さんがいないとね」
 そうなればというのだ。
「ご家族もね」
「いられなくて」
「路頭に迷うから」
 そうした事態に陥るというのだ。
「その辺りはね」
「必死になるのね」
「そうだよ」
 こう話すのだった。
「そこはね」
「ご家族の生活もあるから」
「何としてもね」
「継いでもらわないといけないのね」
「そうなんだ」
「お寺も色々あるのね」
「昔は表向きには結婚出来なくて」
 浄土真宗以外はそうであった、肉食妻帯はしてはならないというのが仏教の僧侶の戒律の一つであった。
「そうでね」
「お弟子さんが継いでいたりしたのね」
「そうだったけれど」
 その状況がというのだ。
「今は結婚出来て」
「明治からね」
「それで家庭も出来て」
 浄土真宗以外の宗派もそうなったのだ。
「そのご家族のことがあるから」
「お寺は継がれないといけなくなったのね」
「絶対にね」
「お坊さんも大変だよ」
「そうした事情があるから」
「うん、お家のことは今もね」
 なくなったと思っていてもというのだ。
「あるんだよ」
「そういうことね」
「うん、ただね」
 ここでだ、佐京は曇った顔になって言った。
「天理教のこのことに文句をつける」
「あの天理教でお世話になっていた人ね」
「世襲がどうとか言ってね」
「その人長男さんで」
「それなのに何もしない」
「そんな人よね」
「何もしないで文句ばかりで」
 そうであってというのだ。
「当然天理教のこともね」
「何もしなくて」
「そんな人がお家のことがどうとか言っても聞けないわね」
「何でも教会を継ぐ人がどうとか言ってたけれど」
 それでもというのだ。
「何もしない、出来ないで文句ばかりで」
「お家のこともそうで」
「その境界を継ぐ人なら」
 佐京は話を続けた。
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