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大阪の夜泣き蕎麦
第二章

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「今夜でもね、どう?」
「面白いですね」
 三葉は微笑んで応えた。
「それじゃあ」
「ええ、今夜ね」
「二人で行きましょう」
「あの神社にね」
 こう話してだった。
 二人は実際にその夜生國魂神社に行った、待ち合わせをして神社の前で集まった。時間は夜の十一時過ぎだったが。
 蜜柑は完全な防寒装備でだ、自分とほぼ同時に神社の前に来た三葉に言った。
「三葉ちゃんも完全装備ね」
「寒いですからね」
 二人共セーターにコート、スラックスに手袋という恰好で帽子も被っている。
「夜は」
「そうよね、大阪は暑いって言っても」
「冬の夜は冷えます」
「実は私ズボンの下はジャージ穿いていて」
「私もです」
「カイロも入れてるわ」
「それ私もです」
 三葉も言ってきた。
「よく胸大きくてその脂肪で」
「寒くないって言われるのね」
「そんなことないですから」
 三葉に笑って話した。
「本当に」
「寒いわよね」
「胸が大きくても」 
 それでもというのだ。
「寒いものは寒いです」
「二人共そうよね」
「はい、あと私お父さんブラジル人で」
 三葉はこのことも話した。
「それでお肌黒くて」
「そうなのよね」
「母方のお祖母ちゃんがブルガリア人で」
「銀髪よね」
「それで顔立ちはお母さんで」
「日本人とブルガリア人のハーフの」
「ブルガリアは寒いですが」
 それでもというのだ。
「ブラジルは暑いので」
「そうしたお国柄でね」
「私も寒さに弱いです」
「お父さんこっちで働いておられるのよね」
「大阪で」
 自分達が暮らしている街でというのだ。
「そうしてます、シェラスコのお店で」
「そうよね」
「いつも冬は寒いって言っています」
「大阪でもね」
「ブラジル人から見ますと」
 どうしてもというのだ。
「寒いそうです」
「そうよね、生まれ育ちってね」
「感覚にも出ますし」
「それでよね」
「私も寒さには弱いです」
「私もよ、私は冷え性だから」
 蜜柑はというのだ。
「冬はね」
「こうして外出する時は」
「完全装備でね」
 それでというのだ。
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