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渦巻く滄海 紅き空 【下】
九十二 VS木ノ葉
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くしてやんよ…ッ、【牙通牙】!」
「…っ、待てキバ!」


シカマルの制止の声を振り切って、キバが赤丸と共に攻撃を仕掛ける。
回転しながら敵を破壊し尽くす【牙通牙】。

破壊力抜群の猛攻がナルト目掛けて突撃する。
白煙が立ち上った。

回転しながら最初の立ち位置に戻ったキバは「へっ、ざまぁねェな」と得意げに嗤い、そのまま相棒である赤丸へ同意を求めようとして、はたと気づく。



「探し物はこの子かな?」

白煙の向こう側。
朦々と立ち上る煙に映る人影が、ゆらり、と揺らめいたかと思うと、次の瞬間には、キバの隣に立っていた。

呆然と立ち竦むキバの視線が動くより前に、その腕に慣れ親しんだぬくもりが手渡される。
昔と違って今や大型犬である赤丸をまるで重さを感じないように軽々と。
すれ違い様に赤丸をキバの腕に返したナルトへ、今度はリーが踵落としを決めにかかった。


「赤丸…!」
「だ、だいじょうぶ…気絶してるだけ、みたい…」


急いで相棒の様子を窺うキバに、【白眼】を発動させたヒナタが安心させるように告げる。
外傷もない。
ただ、意識を失っているだけである赤丸にほっと安堵するキバの背景では、リーとナルトの激しい体術戦が繰り広げられていた。


完全に不意打ちだったリーの踵落としを、軽く首を巡らせてナルトが回避する。
暴風を思わせる鋭い蹴りを立て続けにリーが放つ。
胴体を狙ったが、それを見越してナルトは後方へ軽く身を退けることで、その蹴りを避けた。
リーはくるっと勢いよく回りながら地に手をついて、今度はナルトの顎先を狙って蹴りを入れる。
その爪先が掠める直前で顎を引き、身を仰け反ってリーの攻撃範囲からひらりと逃げたナルトは、ふわりと花の蕾が開花するかのように微笑んだ。



「…以前の君は、もっと動きにスピードと切れがあったけど」

気のせいだったかな? とわざとらしく小首を傾げられ、リーは苦笑を返した。


「……よく言ってくれます…」



中忍予選試合。
うずまきナルトとロック・リーは第二回戦でぶつかった。

その際、ナルトは幻術でリーを戦闘不能にし、彼を昏睡状態に陥らせたのである。
だから永い間、眠っていたリーは目覚めた後、かなりの期間、リハビリを余儀なくされた。
故に。

「恨んでいるワケじゃありませんが…キミのお陰で少々大変な目にあいましたよ」


【八門遁甲】の後遺症且つ、精神的打撃を受け、暫く目覚めなかったリーは医療忍術のスペシャリストである綱手によって眼を覚ました…と思われてはいるが、本当は綱手が医療忍術を施す前に、ナルトが手を施してリーの目覚めを促していた。


しかしながら、そうとは悟られず、「…そうか」とナルトは微か
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