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金木犀の許嫁
第四十七話 須磨の海その六

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「身体も柔らかいし」
「だから忍者になれるのね」
「稽古の内容は違っていても」
「そうなのね」
「力士さんって実は太ってないしね」
「脂肪は薄くあって」
「その下は筋肉だからね」
 それが力士なのだ。
「しかも下半身しっかりしているから」
「余計にいいわね」
「むしろ忍者が力士さんと戦ったら」 
 その時はというと。
「忍者が負けるから」
「忍者は戦いは専門じゃないから」
「だからね」
 その為にというのだ。
「どうしてもね」
「力士さんには負けるのね」
「うちの高校の相撲部にもね」
 そこの部員達にもというのだ。
「負けるよ」
「そうなのね」
「あの突進と張りて受けたら」
 その時はというと。
「吹き飛ばされるよ」
「体格差があるから」
「それでね」
 まさにその為にというのだ。
「そうなるよ」
「そうなのね」
「もうね」
「それで力士さんは忍者にもなれるのね」
「そうだよ」
 まさにというのだ。
「これがね」
「そうなのね」
「しかも強いから」
「力士さんも馬鹿に出来ないわね」
「俺もそう思うよ」
 佐京もだった。
「本当にね」
「ううん、何かね」
「何か?」
「佐京君達と暮らす様になって」
 それでというのだ。
「忍者のことがわかってきたわ」
「そうなんだ」
「よくね」
 微笑んで話した。
「そうなってきたわ」
「けれど夜空さんは」
「猿飛家の分家でね」
「忍者については」
「けれど私達の家族は誰も忍術やってないから」
 だからだというのだ。
「それでよく知らないから」
「そう言うんだ」
「そうなの」
 まさにというのだ。
「私はね」
「そうなんだ」
「ええ、そうなの」 
「だからよく知らないんだ」
「お父さんもお母さんも忍術してなくて」
 そうであってというのだ。
「お姉ちゃんも私もでしょ」
「そこは違うんだね」
「本家と分家の違いかしら」
 夜空は言った。
「まさに」
「うん、真田家も十勇士の家も」
 佐京はすぐに答えた。
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