暁 〜小説投稿サイト〜
のびあがり
第五章

[8]前話 [2]次話
「江戸時代の頃とは違うな」
「時代が変わってね」
「今はそうですね」
 二人は現代人として答えた。
「もうです」
「高い建物なんてあちこちにあるわ」
「この大阪でも」
「タワーマンションも増えて」
「そうなったからな」 
 だからだというのだ。
「もうな」
「今はね」
「のびあがりさんもですね」
「そこまで大きくなく驚かれることもない」
 そうだというのだ。
「時代は変わったものだ」
「それもね」
「仕方ないですね」
「昔は大阪城も天守閣がなかった」
 このことも話した。
「大坂の陣で焼けて」
「それで初代はなくなって」
「二代目は落雷で」
「今は三代目で」
「昭和の初期に建てられてますね」
「それで通天閣も初代まではな」
 それが建つまではというのだ。
「わしがのびあがると高いと驚かれたが」
「今はね」
「何でもないですね」
「そうなった」 
 実際にというのだ。
「これも世の流れか」
「そうね」
「仕方ないですね」
「うむ」
 妖怪も確かにと頷いた。
「こうなってはな」
「けれどやるでしょ」
 美玖は妖怪にここでこう言った。
「あんたはこれからも」
「のびあがるぞ」
「そうよね」
「そうすることがな」
 まさにというのだ。
「わしのアイディンティだからな」
「それでよね」
「これからもな」
「人の傍に出て」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「視線が上がるとな」
「それに基づいて伸びていって」
「見上げさせる」
「そうするわね」
「そうしていく」
 このことは変わらないというのだ。
「これからもな」
「そうよね」
「そしてだ」
 妖怪はさらに言った。
「楽しむ」
「そうするわね」
「ずっとな、大阪にいてな」
「じゃあ頑張ってね」
「うむ、しかしお主達臭いな」
 話が一段落してだ、妖怪はこんなことを言った。
「焼肉とキムチと大蒜の匂いがな」
「やっぱりします?」
「酒の匂いもな」 
 琴子に話した。
「アイドルらしくない」
「プライベートですから」
 琴子は酔った顔で答えた。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ