第一章
[2]次話
フリーエージェントは大嫌い
今根室千佳は二学期の終業式が終わった後のクラスでこんなことを言っていた。
「今年は最後がね」
「よくなかったわね、カープ」
「どうもね」
クラスメイト達もそれはと返した。
「九月滅茶苦茶に負けて」
「まさかの四位だったから」
「八月終わった時首位だったのに」
「それがね」
「打線がよくないとね」
千佳はぼやいた顔で言った。
「本当にね」
「投手陣に負担かかって」
「いざって時に疲れが出るのね」
「それで打線は相変わらず打たない」
「それじゃあ負けるわね」
「ええ、ただ負けるにしても」
それでもとだ、千佳はさらにぼやいた。
「今年はね」
「負け過ぎよね」
「幾ら何でも」
「九月は」
「異常だったわね」
「記録に残る位ね」
そこまでというのだ。
「負けたしね」
「残念だったわね、千佳ちゃんにとっては」
「本当にね」
「それでね」
千佳はさらにぼやいた。
「シーズンオフはね」
「あるっていうのね、カープには」
「よくないことが」
「もううちと西武はね」
この二つのチームはというのだ。
「何かっていうと出られるから」
「そう、フリーエージェント」
「それよね」
「カープいつもよね」
「それで出られるわね」
「九里亜蓮がね」
彼がというのだ。
「去年の西川さんに続いて」
「出たわね」
「二人共オリックス行ったわね」
「そうなったわね」
「巨人に行かなかったことはいいけれど」
それでもというのだ。
「問題はね」
「出られることよね」
「主力選手が」
「フリーエージェントで」
「そう、オフになったら」
ペナントが終わってというのだ。
「カープはね」
「主力選手が出る」
「それが嫌よね」
「何て言っても」
「はっきり言うわよ」
千佳は顔を顰めさせて言った。
「私フリーエージェント大嫌いだから」
「カープファンでそうした人多いでしょうね」
「本当にいつもそれで選手出るから」
「だからね」
「嫌いよね」
「うち引き止めないから」
フリーエージェントで出る選手はというのだ。
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