アンサンブルを始めよう 2
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熱に襲われ、一昼夜ひたすら転げ回ってた。
治まった時には、既に『退魔』と『治癒』の力を自在に使えていたから、あれが祝福なのかと、後日振り返って納得したものだ。
…………ああ、そうか。
あの液体は『神の血』か。
人の身には余る力を負担なく扱う為に授けられた『神の魂の欠片』だ。
力の源とも媒体とも言えるあれを、生命の核に直接取り込んだから。
だから、アルフリードさんは勇者でいられた。
逆に、私が『時間』の力を使うたびに消耗していたのは、神か、もしくは神に匹敵する悪魔の力を操る為の下地が与えられなかったから。
そのわりに何度も使えたのは、女神の守護と、悪魔の支配があったから。
ロザリアの願いと、ベゼドラの意志が、私に掛かる負担を軽減していた。
外付けのクセに、じゃない。
外付けだからこそ、消耗していたんだ。
祝福を授かろうとするなら、私は、最低でも現代の力の保有者……
『長様の血』を飲まなければいけなかった。
でも、長様はあえてそうさせなかった。
私を護っていた女神を、私達の手が届かない遠くへ行かせない為に。
ロザリアが怒っている理由がこれなら、きっかけは私の寝坊かな。
彼女は『死』に対して極端に臆病だから。
いつもより長く眠っている私の姿から残された時間の少なさを実感して、いろいろと我慢の限界を超えてしまったのだろう。
(うーん……)
正直、無味無臭でも血液なんか飲みたくないし。
私が人間を超える生命力と自己防衛手段を得ていたら、それこそ彼女達はレゾネクトを遠ざける為に糸口すら残すまいと、私とベゼドラへの守護や、繋がりをすべて断ち切ってたんじゃないかって気がする。
であれば、私は長様の決定に感謝こそすれ、怒ったり恨んだりはしない。
むしろ、よくそこまで考えてくれたなあと、うっすら感動したのだが……
ロザリアが私のことで怒ってくれるのが嬉しいから、黙っていよう。
リーシェの件でも、なにやら考えがあるらしい彼女の邪魔はするまいと、静かに立ち上がり、ふわふわ漂う球体と三人からこっそり距離を空ける。
「人間一人の消耗を早めた程度の些事で我らに報復などと! 先も読めぬ下賤な小娘が!」
長様の目がギラリと光った。
時間干渉を狙ってるなあと察しても、無力な私にはどうしようもない。
両腕を腰上に回し、成り行きを見守る。
「下賤で結構! お前らに高貴だとか敬われても私は全然嬉しくない!」
ロザリアの目も光った。
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