暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
インナモラーティは筋書きをなぞるのか 3
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
師範の左横に出て、並んで歩く。
 師範は、私の顔を少しだけ驚いた目で見て。

「付いて来れるならな」

 優しく微笑んだ。

「はいっ!」

 師範は素晴らしい。
 師範以上に出来た人間など、私は知らない。
 理想で、目標な……常にそうあろうとしてくれてる、私の恩師。

 そんな彼の振舞いが。一言が。
 私の頬に熱を集め、心臓を高鳴らせ、血液を沸き立たせてくれる。
 全身の毛が逆立ち、山岳地帯を叫びながら全力疾走したくなるような私の闘志を、際限なく燃やしてくれる。

 私のほうこそ、この方を失望させてはならない。
 いつの日か必ず追い着き、追い越さなければ。

『……………………。』
「どうしました?」

 不意に小鳥の視線を感じ、小さな瞳を覗き込む。

『気にするな。天然と鈍感は遺伝するんだなあと思っただけだ』
「はい?」

 天然? 鈍感?

「懐かしいと感傷に浸る間もないな。まったく……」
「?」

 誰の話だろう? と首をひねると。
 小鳥はあさっての方向を見ながら、深い深いため息を吐き出した。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ