Side Story
少女怪盗と仮面の神父 51
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なたを、傍観者には、しない。
決して、させない。
「その決意自体は、王族としても非常にありがたいんだけどなー」
「「…………っ??」」
突然聞こえた男性の声に驚き、母子揃って振り向けば
「おとうっ……、じゃない、エルーラン殿下??」
いつの間にか開いていた扉の一歩外側に、全身真っ白な長衣で覆われてる金髪の青年が、両腕を組んで立っていた。
王族の正装なのか、なんなのか。
深夜の大森林で見た服装より金物の装飾品が多く、室内でも陽光の反射が眩しい上に、手の甲まで隠す袖や、床を滑る長いマントが動き辛そうだ。
民家の内装と格好が凄まじく不釣り合いで、目に入った瞬間から違和感が過活動を起こしている。
大森林の時と同じノリで、うっかり「お父様」と言いかけたものの。
エルーラン王子の後ろに、彼とそっくりな装いの男性二人が立っていると気付き、今はダメだと言葉を改めた。
中腰から慌てて立ち上がり、椅子の側で片膝を突いて礼を正すハウィスを横目に、ミートリッテもベッドの上で背筋を伸ばす。
降りるべきかな? とも思ったが、エルーラン王子が鷹揚に頷いたので、とりあえずは座ったままで良いらしい。
「王都へ行く前に、大仕事を二つほどこなしてもらうぞ、ミートリッテ」
「大仕事? を二つ、ですか?」
「これが何か、知ってるか?」
するすると、優雅な足取りでベッドの横まで移動してきた王子が、袋状の袖から『何か』を取り出し、ミートリッテの眼前に突きつける。
咄嗟に水を掬うような形で差し出してしまった両手のひらの上に転がる、親指の爪くらいの大きさで丸っこい、鮮やかな緑色のそれは……
「…………コーヒーの実?」
アルスエルナでは自生していないとされる植物の『生果』だった。
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