Side Story
少女怪盗と仮面の神父 51
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ウィック村に侵入した暗殺組織が、シャムロック又はブルーローズを嗅ぎ分けるまで、他の村民とは違う動きをとり続けること。
実際は、一日目にしていきなり目を付けられていたし。
結果的にはアルフィンのほうが重要だったので、問題はないのだが。
仮に、そうと判明する前にミートリッテが罪悪感で引き籠っていたら?
囮もへったくれもない。
ブルーローズは騎士として普通に仕事をこなし。
獲物探しで躍起になったイオーネ達は、アルフィンの存在を認識するまで堂々と村を荒らし続けるか、罠に気付いて早々と離脱するかのどちらかだ。
どちらにせよ、その時点で義賊の被害者を捕縛する係のエルーラン王子がネアウィック村の近辺に居なければ、計画はすべて徒労に終わっていた。
そんな状況下で、マーシャルが回りくどい自己紹介を残していったのは、十中八九、ミートリッテを貴族にさせたくなかったハウィスの為だろう。
「ハウィスの立場を考えると答えそのものは言えなかった。でも私が船上でマーシャルさんの演技を聞いていたのは知ってる。だからこそ、あえて私に接触したんだと思う」
ほら、この顔をよく見て。この声をしっかり聴いて。貴女はこの姿とよく似ている女性を、この声をどこで聴いたのかを、ちゃんと知ってる筈よ。
お願い、貴女を取り巻くものに、早く気付いて。
これ以上、姉さんを悲しませないで。
「……そう、伝えたかったんだよ。マーシャルさんは」
何も見てない、気付いてない。
あれはやはり、アーレストとの恋愛話ではなかった。
正しくシャムロックへの忠告であり、ミートリッテへの懇願だったのだ。
アーレストは態度に含みを持たせて誤魔化すことで、機密漏洩一歩手前なマーシャルを庇っていた。
「優しいね。ハウィスも、ハウィスの周りに居るみんなも。すごく優しい」
「……ミートリッテ?」
ハウィスの両手のひらに顔を埋め、口付ける。
ミントの香りがするこの手は、人殺しの手。
だけど、冷たくはない。
優しい心を持った人の、温かな手だ。
「この手が、マーシャルさんと私に命懸けで温もりと居場所をくれたんだ。マーシャルさんも、ハウィスの為に身を挺して私を護ってくれた。だから、今度は私が、何も持たない誰かに、この温かさを全力で分けていく番」
左右交互に頬ずりして顔を上げ、にっこりと笑う。
「子ミートリッテ=ブラン=リアメルティは、義母ハウィス=アジュール=リアメルティに誓う。私は後のアリア信仰アルスエルナ教会の大司教という立場を利用……もとい。活用して、この世界の意識を変革する!」
人は誰しもちっぽけな存
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