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Fate/WizarDragonknight
偽善者
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 至近距離からの爆発。
 パピヨン自身の最大火力を、あの蝶に込めた。これならば、ウィザードも人間である以上は生きていまい。
 爆炎がやがて消え、やはりそこにウィザードの姿も、その変身者の姿もない。

「は、ははっ! ははは!」

 とうとう、参加者を葬った。
 パピヨンは口を大きく開き、その声を工場内へ響かせた。
 だが。

「……は?」

 パピヨンは、その高笑いを思わず止めた。
 それは、異様な気配をウィザードがいた地点から感じたからだ。
 すでに、ウィザードの魔力は感じない。それはつまり、彼が戦闘できなくなっていることを意味する。ならば、素直にウィザードに勝ったと判断してもよさそうだが、それが出来ないのは、ウィザードがいた地点から、ウィザードとはまた別の魔力を検知したからだ。
 そして、その正体。
 まるで神話の時代から現れたような存在。ハリケーンドラゴンの翼、ランドドラゴンの鉤爪、ウォータードラゴンの尾。それが、ウィザードという仮面ではなく、その変身者の肌を突き破り、直接生えている。

「な、なんだ……!? お前は……!?」
「ファントム。魔力の高い人間が絶望したとき、内部から食い破って出てくる怪物。それが俺だ……」
「……は、はは……」

 それが現実だと理解できるまで時間がかかってしまった。
 パピヨンは半分人間、半分怪物の姿へ、大きく口を上げた。

「これはお笑い草だ! 怪物が、人間の中に混じっているとは! なるほど、上手く仲間たちを騙していると! これは何か、他にも嘘を入れているかもしれないなあ!?」
「俺の願いと、パピヨン……お前の願いは似ている」

 怪物は、ウィザードの声で語りだした。
 凄まじい違和感を覚えながら、パピヨンは顔を顰める。

「お前の願いだと?」
「俺の願い……聖杯が、俺への参加の餌は、俺が人間になれることだよ」
「ほう……お前も一丁前に願いのために戦っているじゃないか……」
「俺自身が願ったことはないよ。ただ、潜在的に強い願いを持った、魔力の高い存在がいた。それを聖杯が捕まえたってことでしょ」

 怪物は続けた。凶悪なデザインの鉤爪を器用に動かし、ホルスターからルビーの指輪を取りだしている。

「ただ、俺はこの願いを持っていて良かったと思ってるよ」
「何?」
「聖杯戦争で、戦いを止める。そのために動けるから」
「本当にそうか? そう言って協力する仲間たちを出し抜こうとしているんじゃないか?」

 すると、パピヨンの言葉に、怪物は押し黙った。

「そうかもね。だとすると、俺は相当うまくいってることになるけど」
「偽善者が」
「……偽善者でも、構わないよ」

 怪物はそう言いながら、ベルトを動かす。
 鳴り響く、ウィザードラ
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