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Fate/WizarDragonknight
偽善者
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イバーの呪文。それは、夕方になりつつある見滝原へ響いていく。

『シャバドゥビダッチヘンシーン シャバドゥビダッチヘンシーン』
「変身!」
『フレイム ドラゴン』

 現れる深紅の魔法陣。
 ドラゴンの魔力を抽出させ、魔法陣を通じて炎の魔力として体に定着させていくそれ。やがて、その姿と似通った幻影が、魔法陣より飛び出した。

『ボー ボー ボーボーボー』

 そして、怪物の体に吸収されていく幻影。深紅の魔法陣と合わさり、その姿は、見慣れた赤いウィザード フレイムドラゴンとなる。

「戦いを止められるなら、偽善者でもいい!」

 ウィザードの魔力が体内を駆け巡る。すると、フレイムドラゴンのルビーの面が深紅の光を放つ。

「俺は……俺自身の願いを叶えてはいけないし、聖杯の為に誰かが傷つくのを認められない」
「何だと?」
「偽善者だって言うなら、俺は、俺の都合で助けたい人、助けられない人を決める。一人でも多く助けられるなら……後戻りが出来なくなる前に、お前を止められるなら、俺は……!」

 ウィザードの体から、炎が燃え滾っていく。それは、夕陽と重なり、赤く輝く。

「お前の願いを潰す」
「……フン」

 パピヨンは、無数のメダルの破片をばらまく。
 生成されるミイラたち。だがそれらは、産声を上げると同時に、瞬時に赤い奔流に消滅していった。
 その発生源は、ウィザードの胸元。まさに怪物の如く吠えるドラゴンの頭部が、彼の胸から生えてきていた。その口から発せられる炎の息吹が、ミイラたちを吹き消していたのだ。

「チッ……ならば!」

 パピヨンは指を鳴らし、無数の蝶を差し向ける。
 爆発に次ぐ爆発。
 廃工場の壁を覆う氷すら破壊し尽くす威力。メダルの力も合わさり、威力が飛躍的に上昇している。
 だが。

「はああああああああああああああっ!」

 爆発ごと、ウィザードの炎が吹き飛ばした。彼の全身から溢れる炎が、パピヨンの蝶への防御壁としての役割を果たしていたのだ。

「化け物が……」
「化け物だよ」

 ウィザーソードガンを構え、ウィザードは迫る。
 容赦のない斬撃に対し、パピヨンは手刀で応戦。火花が散り、パピヨンの手にも確かな手ごたえが返ってくる。
 だが、ウィザードには無数の魔法という手段がある。やはりそれを使わない手はないだろう。
 パピヨンが予期した通り、ウィザードはソードガンに付属している手のオブジェを開く。

『キャモナスラッシュシェイクハンド キャモナスラッシュシェイクハンド』

 おそらく簡易的な魔法の詠唱なのだろう。
 だが、彼の思い通りにはさせない。
 パピヨンはウィザードから飛び退き、翼を広げる。
 蝶の翼や蝶の爆弾。それはあくまで、ニアデス
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