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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第百二話 第二次国境会戦(前)
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は前衛の消耗が…」
「これは我慢比べだ…相手が先に動いた、我々はそれを迎撃しようとしたがそれを逆手に取られた。敵は我々が焦れて動き出すのを待っているのさ…最後まで付き合うしかない。そのうち敵も再編成するだろうから、その時に我々も再編成しよう」
とは言うものの、長丁場になりそうだ…。


16:00
フォルゲン宙域、ヴァルトブルク星系、銀河帝国軍、ミッターマイヤー艦隊旗艦ベオウルフ、
ウォルフガング・ミッターマイヤー

 敵は足止めされた後も漫然と戦っている。損害も馬鹿にならない筈だが…。
「このままではケンプ分艦隊の負担が大きいかと思われますが…ケンプ分艦隊の損害は三割を超えております」
「そうだな。だがその程度の損失で済んでいるとは、流石はケンプと言わねばならんな」
「はい。以前は撃墜王として名を馳せた方です」
「ああ。あの図体でよく戦闘艇(スパルタニアン)の操縦席に収まるものだと不思議に思っていたが、どうやら撃墜王の二つ名は本物の様だ」
ケンプ分艦隊だけではなく、バイエルライン達の分艦隊も少なくない損失が出ている。そろそろ戦線を縮小せねばならんか…。

 「叛乱軍二個艦隊の後方に新たな敵集団です…一個艦隊規模、およそ八百光秒」
オペレータの報告と共に、概略図に新たな敵を示すシンボルが表示される。
「前面の二個艦隊が後退しつつあります。おそらく再編成を行うのでは」
「その様だな…本隊はこれより最大戦速で突撃する。敵の前衛の艦隊に一撃を加えてケンプ分艦隊とバイエルライン達の後退の援護を行う。ケンプ達に本隊の突撃後、機を見て後退するように伝えろ」
「了解致しました…本隊、斉射しつつ突撃せよ!」



7月21日09:00
自由惑星同盟軍、第一艦隊旗艦ヒューベリオン、
ヤン・ウェンリー

 「第七、第八艦隊はそれぞれ二割近い損失を出しているそうだ。敵のミッターマイヤー艦隊は後退、おそらく戦闘開始前の七割程度の兵力規模になっていると推察される…との報告があった」
そう報告するラップの顔は渋かった。戦い方が気に食わないのに違いない。それにしても敵のミッターマイヤーという司令官の用兵は見事という他なかった。此方が本気ではないとはいえ、二個艦隊を一個艦隊で足止めして、敵に増援…我々の事だが、増援があると知るや戦闘を切り上げて後退した。
「足止めの遅滞戦闘といい、本隊による撤退の援護戦闘といい、鮮やかなもんだね。神速にして理に叶うか…なるほどなるほど」
「感心している場合じゃないと思うがね」
「そうかい?あんな手際のいい指揮官が味方に居たらと思ってね」
「…味方が不甲斐ないと?」
余程腹を立てているな、ラップは…奴の立場では仕方ないのかも知れない、何故ならラップはこの艦隊の参謀長であると同時に方面軍司令
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