第百二話 第二次国境会戦(前)
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、後衛の艦隊がその隙に迂回して我々の後方に回るつもりなのだろう、だが…。
「叛乱軍艦隊、増速中…叛乱軍前衛はおそらく第七艦隊の模様」
ベテランの下士官なのだろう、オペレータが落ち着いた様子で報告の声を上げた。アムリッツァに存在する叛乱軍艦隊は全部で五個か六個艦隊の筈…このフォルゲンには二個艦隊…常識的に考えれば、ロイエンタールの居るボーデンにも二個艦隊を派遣するだろう。奴等とて先年の戦いでハーン方面からも攻撃された事を忘れてはいないだろうから、アムリッツァを空にする事はない筈だ…。
副司令長官は、どう動くか…そして上手く有志連合軍を動かす事が出来れば、叛乱軍の受ける重圧は相当なものになるだろうが…。
「有志連合軍は動いてくれるのでしょうか」
「ドロイゼン、何か思うところがあれば遠慮する事は無い、言ってみろ」
「は…有志連合軍、貴族の方達は正規軍との共同作戦など行った事はありません。補佐する軍人達も軍には属していますが貴族の方達の家臣です、戦闘経験は少ないでしょう。数は多いとはいえそんな方達が率いる兵力が果たして共同歩調をとれるかどうか、甚だ疑問でありまして」
ドロイゼンの言う事は尤もだった。
「だが、ヒルデスハイム幕僚副総監が門地派閥に関係なく貴族艦隊の錬成にあたっていたぞ。今は正規軍に属するノルトハイム両艦隊もそれに協力していた筈だ」
「ええ、小官もそれは存じていますが…」
「何か、あるのか?」
「アントン艦隊に配属されている同期が言っていたのですが、ウチとベルタ艦隊以外は、手足はいいが、頭が駄目だと」
手足…軍人の事だろう。となると頭は…。
「頭か」
「命令される事に慣れていないから、上級司令部から指示を受けても正しく理解が出来ない、または理解に時間を要する…のだそうです」
ドロイゼンは明らかに言葉を選びながら話していた。同期同士の内輪の話だ、もっと突っ込んだ内容もあったのだろう。となると、ミューゼル閣下から要請を受けても取り合わない事も考えられる…しかし閣下はヒルデスハイム伯の参謀長まで務めたのだし、ご姉弟でブラウンシュヴァイク公の庇護を受けていた筈だが…ああ、それでも一門ではないからな…。
「ミューゼル副司令長官に報告…我、まもなく叛乱軍艦隊と交戦状態に入れり。叛乱軍艦隊は二個、おそらく第七、第八艦隊と推測される…以上だ」
ディッケルがオペレータの所に向かう。おそらくボーデンにも叛乱軍艦隊が出現している筈だが、果たして…。
宇宙暦796年7月20日09:00
フォルゲン宙域、フォルゲン星系、自由惑星同盟軍、第一艦隊旗艦ヒューベリオン、
ヤン・ウェンリー
概略図にはヴァルトブルクでの戦いの様子が映し出されている。第七艦隊が敵の艦隊を足止めし、第八艦隊が迂回して敵の後方を抑え前後から挟撃す
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