ホムンクルス
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「俺の願いなど、君にとってはたかが知れたものだろうよ!」
「何……!?」
パピヨンの手刀は、ほとんどがウィザーソードガンで防がれてしまう。
「俺が欲しいのは、俺以外の参加者が当たり前に持っているものなのだからな!」
「俺もみんなも、当たり前に持っているもの? ……ぐっ」
戦闘中に考えに耽るとは、甘く見られたものだ。
パピヨンは少しだけ憤慨しながら、ウィザードの胸元に手を当てる。
弾けろ、と心の中で呟く直前、ウィザードのベルトから『リキッド プリーズ』という音声が流れた。
すると、ウィザードの体が固体から液体に変化する。蝶の爆発は、ウィザードの右肩を弾き飛ばすが、液体となった彼には通じない。
すぐさま再生したウィザードは、そのまま掌底でパピヨンの体を貫く。
だが、大量にメダルを吸収したパピヨンには通じない。華奢な体であるのに、パピヨンの体はびくともしない。
パピヨンは彼の腕を掴む。ウィザードのサファイアの面に迫る。
「俺が欲しいもの……この世界の美しさを真に味わうことが出来る……命だ!」
「え……!」
「俺は本当の命が欲しい……! 親父が作った偽りの命ではない、寿命で苦しむこともない、永遠の命が!」
パピヨンはその言葉と同時に、ウィザードの胸元へ掌底を放つ。同時に、小さな蝶をウィザードの体内に潜り込ませる。
「吹き飛べ!」
パピヨンは叫ぶ。
液体のまま、ウィザードの体ははじけ飛ぶ。同時に、彼の液体になる魔力は限界を迎えたようだ。地面を転がった水のウィザードは、明らかに固体となっている。
「俺に願いを諦めろというのは……俺に、短命のまま死ねといっているのと同じなんだよ!」
「!」
その言葉に、ウィザードの動きが固まった。
パピヨンは続ける。
「前も言ったよな? 自らの邪魔になる参加者は、仕方ない名目のもと容赦なく始末する、自分の都合で、救う救わないを勝手に選ぶ……その選択では、俺は間違いなく死ぬ!」
言葉を紡ぐごとに、パピヨンは自らの体内のメダルがその量を増していく。
さらに抵抗しようとするウィザードだったが、すでに彼の左右には、ミイラが忍び寄っている。両腕を掴み、ウィザードが魔法を発動するのを妨害した。
そしてパピヨンは、ただ吐き捨てた。
「俺を救えないなら、黙っていろ。偽善者」
そして。
メダルの力で強化された蝶が、ウィザードの顔すぐ近くに到来し。
爆発した。
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