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Fate/WizarDragonknight
ホムンクルス
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 パピヨンは自らが手にしている、たった一枚のメダルを取りだす。

「このメダル……俺の武装錬金に反応して、凄まじい力を与えてくれると……!」
「お前、あんなものを使ってまで聖杯戦争に参加したいのか……! 一体何のために……!?」
「俺の願いか?」

 パピヨンは笑みを浮かべ、自らの胸元……丁度、タイツが分かれている部位に両手を当て、迷いなくその皮膚を引き裂く。
 当然ウィザードにとっては狂気に思えたのだろう。
 だがパピヨンは、その中心……自らの中心部を見せつける。
 周囲を薄く、赤く灯していくそれ。ウィザードからすれば、人間の内臓にあたる部位に、赤く輝く宝石が見えているはずだ。

「あれは……!?」
「賢者の石、モドキだ」

 パピヨンは答える。

「俺は色々と作られた人間……所謂ホムンクルスというやつでね。もっとも、この石は粗が多く、長い間機能はしてくれない」
「ホムンクルス……?」
「錬金術により生み出された、偽りの人間さ……」

 賢者の石擬きを見つけたのか、頭上のメダルたちは大挙を上げてパピヨンへ注がれていく。

「お、おおおおおおおおおおおおおおおお!?」

 メダルの激流が、物理的にパピヨンを圧倒していく。次々に心臓部である賢者の石擬きに吸収され、ちゃぷちゃぷと液体に浸かるような音がパピヨンの鼓膜を揺らした。
 やがて、全てのメダルを吸収し終えた。パピヨンの賢者の石擬き(コア)を中心に、メダル(セル)で肉体が構成されていく。
 足元を見れば、いつのまにか黒いカーテンが敷かれている。あたかも自身を彩る劇場のようなカーテンの存在に舌を舐めずり、「ふむ……」と頷いた。

「なるほど。メダルの力、素晴らしいもののようだ……」

 手にする、肉体を構成するメダルの一枚。それを割り、地面に放る。
 するとどうだろうか。割れたメダルは徐々に巨大化し、ミイラが生まれていく。鈍い動きと呻き声を上げるそれは、ゆっくりとウィザードへ歩みだしていった。
 それも一体や二体ではない。無数のミイラたちが、工場を重機の代わりに埋め尽くしていく。

「くっ……!」
『チョーイイネ スペシャル サイコー』

 ミイラたちに対し、ウィザードは即、強化された魔法を発動させた。
 ドラゴンの尾をその腰に宿し、一薙ぎでミイラたちを打ち落としていく。
 だが、それはパピヨンにとっては好機。ウィザードがミイラたちの相手をしている間に、すでに背後に接近していた。

「ぐっ!」
『バインド プリーズ』

 だがウィザードは、即座に拘束の魔法を発動させた。
 水の鎖が、パピヨンの周囲から拘束目的でウィザードに迫る。
 だがパピヨンは、それぞれの鎖を見切り、回避、小さな蝶の爆発で弾き飛ばした。


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