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Fate/WizarDragonknight
ホムンクルス
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腕に遮られ、視界が闇に覆われた。

「誰が……何が、満ち足りたというのだ……!」
「え?」
「俺は欲しい……俺は足りない……!」

 暗い中、目に残った残像が、やがて別の映像に書き換えられていく。
 一枚、また一枚と増えていくそれ。それは間違いなく、さきほど兄貴(・・)が処刑人から手に入れたメダルだった。

「もっと……もっと……!」

 メダルはさらにその数を増していく。そして、それが山のように積みあがっていくごとに、パピヨンの声色も力強くなっていく。

「もっと!」

 そして、叫ぶ。
 すると、工場内の重機たちが、その性質を大きく変貌させていく。
 複雑な機構を持つ機械たちが、積み上げられたメダルという至極簡単なものに変化していく。
 重機だけではない。
 廃工場内に置かれているあらゆる機器が、次々にメダルへ変換され、パピヨンの頭上へ舞い上がっていく。

「な、何が起こっているんだ!?」

 ウィザードは、その現象を理解することができない。
 パピヨン自身、自らの目を疑っている。なまじ原因足り得るものが、兄貴からもらったあの銀のメダル一枚なのだから、より信じられなくなっている。

「これは……?」

 パピヨンはメダルの渦を見上げながら、茫然としていた。
 すでにパピヨンの体を支えていた重機も、メダルの塊となり、頭上のメダルたちと合流している。

「何が何だか分からないけど、止めた方が良さそうだな……」

 一方ウィザードはそう判断したのだろう。
 トパーズの指輪をサファイアと入れ替え、発動させている。

『ウォーター ドラゴン』

 琥珀から瑠璃。
 変幻自在な魔法を自在に操る彼の特性を示すように、ウィザードは属性も特性も真逆の姿に変化した。

『バシャバシャバシャーン ザブンザブーン』

 ウィザード最大の魔力を誇る、ウォータードラゴン。それは、ホルスターから即青い指輪を取りだす。

『チョーイイネ ブリザード サイコー』

 彼は破壊していくだけではキリがないと判断したのだろう。
 フロストノヴァにも匹敵する冷気の魔法が、工場全体を凍らせていく。魔力でコーティングされた氷は、どうやらメダルに変換されないらしい。これ以上のメダルへの変換は防がれたが、メダル本体を凍らせようとしても、すでに工場内の空間を埋め尽くそうとする量のメダルを凍らせることはできない。

「そうだ……俺は欲しい。もっと欲しい!」

 パピヨンが欲望を口にすると、メダルはさらにそれに呼応する。あたかもメダルは生きているかのように蠢き、増殖していく。

「おお……! おお……っ! 兄貴もいい拾い物をしてくれたものだ! こんなもの、無数にあればあるだけ力となるのだからな!」

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