ホムンクルス
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でも、もう知る必要はないよ」
『シャバドゥビダッチヘンシーン シャバドゥビダッチヘンシーン』
ウィザードのベルトから、あの奇怪な音声が流れだす。
そして指輪から、琥珀の光が漏れ出す。
『ランド ドラゴン』
この音声パターンの意味は、調べがついている。
ウィザードの形態変化。
同時に翡翠は琥珀となり、風の魔力は大地のそれとなる。
『ダンデンズン ドゴーン ダンデンズン ドゴーン』
「聖杯戦争関連の戦いは、これで最後だから」
『チョーイイネ グラビティ サイコー』
琥珀のウィザード、ランドドラゴンは、即座にその魔力を新たに発動させた。
重力。その意味を察し、パピヨンは即飛び上がる。すると、さっきまでパピヨンがいた空間を重力の魔法陣が通り抜けていく。
「強気な発言の割には、空振りばかりじゃないか。空を飛ぶ蝶を落とすのも、中々苦労しそうだな、ウィザード」
「意外とそうでもないかもよ? 虫取りって結構好きな子多いからね!」
ウィザードは続けて、グラビティの魔法を発動。
だが琥珀の魔法陣の速度はそれほど早くない。パピヨンの飛行能力でも回避が可能だった。
「その姿だと、どうやら機動力はないようだな。果たしてそれで、俺のニアデスハピネスを防げるのかな!?」
パピヨンは無数の蝶を放つ。
だがウィザードは、新たな指輪を発動させた。
『ディフェンド プリーズ』
土のウィザードが、防御力に優れている。
そのイメージ通り、出現した土壁にパピヨンの蝶たちは阻まれていく。例え爆発を繰り返したとしても、土の壁は聳えたその存在感を放ち続けていた。
やがて土の壁は崩壊する。だがウィザードはすでに、壁の向こうで次の手を打っていた。
両手にドラゴンの鉤爪を構えており、その爪先は琥珀の弧を描く。
「!?」
ウィザードの遠距離の斬撃は、そのままパピヨンの両翼を切り裂いた。
「何!?」
翼の再生成が間に合わず、そのままパピヨンは重機の上に落下。
重低音が響き、パピヨンの肉体が重機のアーム上部をひしゃげる。あの重力の魔法は、果たして囮で、本命は遠距離の斬撃だったのだろうか。そんな疑問さえ過ぎってしまう。
ドラゴヘルクローを消滅させたウィザードは、そのまま吐き捨てた。
「もう、充分だろ」
「な、何……?」
パピヨンは痛む体を起こす。
ランドドラゴンのウィザードは、ゆっくりと首を振った。
「これ以上無駄に命を削る必要なんてない。お前の願いが何かは知らないけど、聖杯以外の手段を探してくれ」
「充分?」
パピヨンはゆっくりと目元に腕を当てる。天井から差し込む陽の光が、自らの
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