第七百八十話 好色一代男その九
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「人を握り潰せないだろ」
「そうだよね」
「そんな人が女装して出て来てもな」
それでもというのだ。
「誰が驚かないんだ」
「美女と思わないでね」
「巨人だって思うな」
「そうだね」
「ああ、大体何でお兄さん殺したんだ」
「何でもお父さんの帝の言うこと聞かなくて」
それでというのだ。
「お仕置きとしてね」
「滅茶苦茶だな」
「だからどうも実際はね」
日本書紀が正しければというのだ。
「当時の辺境に入って」
「そこでか」
「そこの守りをしていたみたいだよ」
「そうなんだな」
「殺されないでね」
「じゃあ日本武尊さんもか」
この英雄もというのだ。
「別に巨人じゃないか」
「人を掴み殺す様なね」
「そうだな」
「だから女装して」
そうしてというのだ。
「敵を欺いて宴で策を成功させられたんだ」
「そうなんだな」
「ちなみにこれ一世紀位の話だから」
その頃のというのだ。
「古いよね」
「紀元はじまった頃か」
「そうなんだ」
「日本の男の娘の歴史は古いな」
「そして平安時代になって」
そうしてというのだ。
「とりかえばや物語が生まれたんだ」
「凄い歴史だな」
「そうだね、しかし男の娘にハーレムにって」
「日本は恐ろしい国だな」
「そうだね、ただフックってタイ人だよね」
ここでベンは彼のことを言った、実はフックは自分がタイ人であることを誇りにしていてタイ王室への敬意の念も強いのだ。
「タイも結構ね」
「ああ、男の娘にはな」
「造形の深い国だね」
「そんなのはな」
それこそというのだ。
「日本並にな」
「普通だね」
「同性愛もな」
こちらもというのだ。
「普通だよ、オネエなお兄さんなんてな」
「よくいるね」
「その寛容さがな」
ベンに明るく笑って話した。
「我が国のいいところだよ」
「僕もそう思うよ」
「そうなんだな」
「うん、ただタイもそんな頃にハーレムものとかないよね」
「ある方が凄いだろ」
ベンに真顔で返した。
「大体二千年前の我が国はな」
「日本みたいにだね」
「宮廷文学だよな」
「源氏物語とかね」
「それが花開いてとかな」
「なってなかったね」
「そうなっている日本がな」
この国の方がというのだ。
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