第七百八十話 好色一代男その八
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「日本人独創性がないってね」
「何処がないんだ」
「よく言われるけれどね」
「少なくとも創作ではあるだろ」
「源氏物語だってね」
「あの時代にハーレムだぞ」
「恋愛ものだね」
このジャンルの作品になるというのだ。
「ヒロインが多い」
「今じゃ普通でもな」
「当時にあるとか」
「しかも主人公がな」
光源氏がというのだ。
「チートだろ」
「美形で帝のご子息で」
「教養あって政治力もあってな」
「人格者でもあるからね」
「チート主人公作るなんてな」
二千年前にというのだ。
「このこともな」
「凄いね」
「それでな」
「何処に独創性がないか」
「むしろあり過ぎだろ」
こう言うのだった。
「もうな」
「そうだよね」
ベンも確かにと頷いた。
「男の娘だってね」
「考えたしな」
「神話でも」
日本のというのだ。
「日本武尊女装してるし」
「そうだったな」
「それを見てもね」
「独創性あるな」
「この人ね」
素戔嗚尊はというのだ。
「お兄さん握り潰して手足もぎ取って捨てたって」
「巨人か?」
「そう言われてるけれど」
古事記ではだ。
「実はね」
「違うか」
「お兄さん何でも神社で神様に祀られていて」
そうなっていてというのだ。
「当時の辺境の守りについていたらしいよ」
「そうなのか」
「多分豪族の娘さんと結婚して」
「その家を継いでか」
「辺境を守っていたそうだよ」
当時の日本のというのだ。
「殺されないで」
「それでか」
「生きていて」
「そうなっていたか」
「何でかね」
古事記ではというのだ。
「そうなっているんだ」
「日本武尊さんが殺したってな」
「そうなんだ」
「あのな」
ここでフックはベンに真顔で言った。
「人を握り潰して手足をもぎ取ったんだよな」
「古事記ではね」
「日本武尊さんって何メートルあったんだ」
「巨人だよね、絶対に」
「十メートルはないとな」
そうでなければというのだ。
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