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赤の夢
第二章

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 それも赤だった、浴室の内装も全部赤になっていて余計に変に思ったがあがるとトランクスも真っ赤だった。
 流石にどうかと思ったところでだった。
 目が覚めた、それで全ては夢とわかったが。
 起きて自分がよく知っている家の中でスーツに着替えて妻が出した白と黄色の目玉焼きと白いパンを食べつつだ、黄色いブラウスと青いジーンズの妻にその赤一色の夢の話をした、すると妻はこう言った。
「何かの予兆とか?」
「赤ばかりだからだね」
「そうじゃないかしら」
「赤が何の予兆かな」
「それはわからないけれど」
「それなのかな」
 夫は妻の言葉に首を傾げさせた、すると。
 二人の息子で高校生で父親そっくりの顔の陸斗がテレビを観て顔を顰めさせた。
「ったく、マジック10かよカープ」
「ああ、そうなのか」
 息子の言葉を聞いてテレビを観るとそう言っていた。
「お父さんパリーグだからな」
「セリーグのこと詳しくないよな」
「そうだからな」
 実は日本ハムファンである、大沢親分が好きだったせいでだ。
「セリーグはそうか」
「昨日の試合負けたからな」 
 阪神ファンの息子は苦い顔で言った。
「そのこと朝も言うと思ったらな」
「言ってるなな」
「まずいな阪神」
 順位を観れば二位だった、尚最下位は首位と五十ゲーム差以上で巨人だ。
「優勝無理か」
「今年はセリーグカープか」
「全く、何で毎年阪神カープに弱いんだよ」
 息子はこうも言った。
「直接対決負けたら駄目だろ」
「まあまだわからないけれどな」
「逆転して欲しいな」
「まさか」
 ここで妻が気付いた様な顔になって言った。
「カープは赤でしょ」
「チームカラーはね」
「あなたが見た夢って」
 夫に言うのだった。
「カープが優勝するって」
「予知夢か?」
「そうじゃない?」
「だから赤一色か」
「そうじゃないかしら」
「嫌だな、それ」
 息子が本当に嫌そうに言ってきた。
「優勝してくれよ、阪神」
「ファンとしてはそうだな」
「そうだよ、巨人が優勝するよりましだけれどな」
 丁度巨人のニュースもやっているが二十五年連続シーズン百敗をヤクルトにノーヒットノーランで負けて達成していた。
「カープかよ」
「いや、だからまだわからないだろ」
「父ちゃんの夢予知夢かも知れないだろ」
「それでもな」
「ったく、冗談じゃないよ」
 息子は朝から不機嫌になっていた、そして。
 そのシーズンはセリーグは広島東洋カープが優勝しクライマックスも制覇した、夫婦はここでやはりあの夢は予知夢だったと思った。だが息子は父にそんな夢は二度と見ないでくれと言ったのであった。


赤の夢   完


                  2024・8・16
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