第二章
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「そうだったな」
「酒には水ですか」
「そうだ、アガウェもだ」
自分の娘でありペンテウスの母である彼女もというのだ。
「あの者達の中にいるが」
「母上、王の母であってもです」
「法に触れるとだな」
「罰しなければなりません」
「その通りだ」
カドモスは孫王の言葉をよしとした。
「まさにな」
「それでは」
「だが酔っている時に捕らえられるか」
カドモスは孫王にこうも問うた。
「酔って暴れて中々だ」
「捕らえるのが厄介です」
ペンテウスもその通りだと答えた。
「実に」
「そうだな」
「はい、非常に」
「その通りだな、また捕らえても酔っているなら何を言っても無駄だ」
「酒で我を忘れているので」
「とてもな」
「左様ですね」
祖父に苦い顔で答えた。
「実に」
「だからここはだ」
「水ですか」
「まずあの者達の前に水を並々と入れた甕を多く置くのだ」
「水甕をですか」
「そうするのだ、そうせよ」
まずはというのだ。
「よいな」
「酒には水といいましても」
「それがどういうことかわからぬか」
「どうにも」
「ならそうすればわかる」
これがカドモスの返事だった。
「よいな」
「それでは」
ここは祖父の言葉に素直に従うことにした、ゼウスに言われたこともあってだ。そうしてであった。
実際に母まだ充分に美しい長い金髪と青い目を持つ彼女を含めた信者達が酒を飲んで乱痴気騒ぎをしている場にだった。
ペンテウスは祖父が言った通り多くの水甕を置いた、そこに水を多く入れて。そうするとであった。
ディオニュソスの信者である女達は酒を飲み乱痴気騒ぎをした結果喉が渇いていて水甕を見るとだった。
先を争う様にして飛び付きそのうえでだった。
水甕に頭を突っ込んで貪る様に飲んだ、すると。
女達は急に頭を抱えだした、そして苦しみだしてだ。
その場に倒れた、それは酔い潰れてではなくペンテウスは首を傾げさせた。
「これは一体」
「酒が醒めたのだ」
共に見ている祖父が答えた。
「水を飲んでな」
「酒に水といいますが」
「そうだ、水を飲むとな」
まさにというのだ。
「酒が醒めるのだ」
「そうなのですね」
「そうだ、そしてだ」
そのうえでというのだ。
「そちらに力を使ってな」
「倒れたのですね」
「これで起きた時はな」
どうなるかというと。
「酔いが醒めている、そしてだ」
「その時にですね」
「法に照らしてだ」
「罰するのですね」
「そうするのだ」
「そうすればいいですか」
「酔いから醒めれば乱れず」
そうであってというのだ。
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