第二章
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「その監督は野茂の投球フォームに文句言って起用もおかしくてな」
「野茂と揉めたか」
「それで野茂はチームを出てドジャースに来たんだ」
「そうなんだな」
「それでそのチームは他にもその監督が選手次々と出してな」
「駄目になったか」
「ああ、そうなったらしいな」
そのファンにこう話した。
「どうやらな」
「その監督駄目監督だったんだな」
「今でも言われてるらしいな」
「その駄目監督のお陰で野茂がメジャーに来てか」
「他の選手もってなったんだ」
「駄目監督が思わぬことやったな」
「それが三十年前だ」
その頃のことだというのだ。
「ほんのな」
「三十年、長い様でな
「ほんのだな」
「ああ、それまでメジャーに日本人いなかったか」
「そうだったんだよ」
「意外だな、ずっと前からいると思ってたけれどな」
「わしが若い頃は実際にいなかった、三十年前は丁度大谷翔平が生まれた頃か」
二番指名打者でいる彼を観て話した、他のメジャーの選手達より大きくしかも引き締まった体格をしている。
「その頃だな」
「日本人のメジャー選手が誕生した」
「ああ、まさにその頃だな」
「その頃大谷翔平が出るなんて思わなかったな」
「思うものか」
老人は笑って応えた。
「こんな漫画みたいな選手な」
「ああ、漫画だよな」
「もうな」
「ここまでくるとな」
「本当にな」
他のファン達も老人の言葉に応えた。
「今年は投げないけど投げても凄いしな」
「とんでもない変化球幾つも投げて一六五キロのストレートだ」
「打ってホームラン王」
「守ってもよし足も速いしな」
「本当に凄いからな」
「野茂でいいと思った、けれど大谷は違う」
彼はというのだ。
「バケモノだ、そのバケモノが生まれたのがな」
「ほんの三十年前か」
「野茂がドジャースに来た頃か」
「その頃か」
「そうだったんだよ」
老人は自分より若いファン達に笑って話した、そうしてだった。
彼等は日本のその監督のことを調べた、日本にいた頃の野茂のことも。
「野茂は近鉄ってチームにいたのか」
「日本の大阪のチームか」
「もうないんだな」
「それで監督は鈴木啓示って人か」
「爺さんの言う通り監督としては評判悪いな」
「昔はこんな人がいたんだな」
「それもほんの三十年前にな」
彼等は調べて話した。
「本当にほんの昔にな」
「メジャーに日本人が来て」
「そこからはじまって」
「えらく評判の悪い監督がいて」
「消えたチームもあったんだな」
「そうだ、昔の様でな」
老人がここでまた言った。
「ほんのなんだよ」
「そうなんだな」
「そう言っていい位の昔か」
「その頃からはじまったんだな」
「ああ、日本人のメジャー選手はな」
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