第一章
[2]次話
過去といってもほんの
大谷翔平はロサンゼルス=ドジャースで山本由伸と共に日本人メジャー選手として活躍している、その活躍は恐ろしいまでのもので。
「凄いな、また打ったぞ」
「これは決勝点になるな」
「本当にとんでもない選手だ」
「普通じゃないな」
ロサンゼルスだけでなくアメリカ中の野球ファン達が彼の活躍に驚いていた。だがその中でだった。
ある老人が周り者達に言った。
「今定着してるけれどな」
「定着?」
「定着って何がだよ」
「何が定着したんだよ」
「日本人の選手だよ」
老人が言うのは彼等のことだった。
「何人もいるだろ」
「ああ、そうだな」
「言われてみればな」
「結構いるな」
「日本人の選手もな」
「ドジャースには大谷と山本がいて」
「他のチームにもな」
ファン達は口々に言った。
「千賀とか今永とかダルビッシュとか」
「歴代でも結構いるよな」
「マー君もいたしな」
「イチロー凄かったな」
「松井だってな」
「昔は一人もいなかったんだよ」
老人は笑って話した。
「これがな」
「えっ、そうなのか」
「昔からいたんじゃなかったのか」
「いつも誰かいる感じするけれどな」
「昔は違ったか」
「ほんの三十年前は一人もいなかったんだ」
こう言うのだった。
「実はな」
「三十年ってな」
「前の世紀の末か」
「その頃は一人もいなかったか」
「その頃までは」
「一人か二人いた位だった、それが三十年前に変わったんだ」
そうだったというのだ。
「ドジャースからな」
「このチームからか」
「大谷や山本がいるチームからか」
「俺達が今観ているチームからか」
「変わったんだな」
「そうだ、野茂英雄が来てな」
この人物がというのだ。
「何でも日本のチームで監督と揉めてな」
「それでか」
「それでドジャースに来てか」
「それから変わったか」
「そうだ、その野茂が活躍してな」
そうしてというのだ。
「アメリカでも日本でも注目されてだよ」
「日本からメジャーに来る様になって」
「メジャーも受け入れて」
「それからか」
「そうだ、それまではな」
それこそというのだ。
「向こうからメジャーなんて夢だったんだよ」
「その夢が現実になったか」
「野茂から」
「そうなったんだな」
「しかしその監督何なんだ」
あるファンは野茂と揉めたというその監督のことを考えた。
「多分そのチームのエースだったんだろう」
「日本を代表するピッチャーだったんだ」
老人はそのファンにすぐに答えた。
「そうだったんだ」
「そうだったんだな」
「しかしな」
それがというのだ。
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ