第一章
[2]次話
幸福侵害
平凡な高校生西義勝が夜に自室のパソコンでインターネットに興じていると彼の部屋の窓からだった。
黒い蝙蝠の翼に曲がった羊の角、尖った黒い尻尾を生やし右手に巨大なフォークを持って赤髪をショートにした青い大きな目に白い肌を持つネイビーブルーと赤のセーラー服、白靴下にシューズを見に着けた少女が飛び込んで言ってきた。
「悪魔アオイ参上!」
「悪魔?うち浄土宗だけれど」
西はその中学生の様な外見の悪魔に座ったまま顔を向けて言った。彼は大きな垂れ目で面長で口も耳も鼻も大きい。黒髪をセンターで分けていて背は一七八位で筋肉質だ。部活は園芸部でいつも肉体労働をしている。
「キリスト教は関係ないよ」
「最近悪魔は宗教に関係ないのだ」
悪魔は彼の前に立って笑って答えた。
「だから気にするななのだ」
「気にするよ、大体呼んだ覚えないし」
西はアオイにそれでと話した。
「不法侵入だよ、警察呼ぶよ」
「悪魔に警察は関係ないのだ」
アオイは胸を張って高笑いしてこの言葉を出した。
「残念であるな」
「そうなんだ、それじゃあエクソシスト呼ぶから」
西はパソコンの席の椅子、回転するそれに座ったまま述べた。
「帰らないなら」
「お前今浄土宗と言ったのだ」
アオイはそこに突っ込みを入れた。
「ではキリスト教は関係ないのだ」
「そうだね、じゃあ家が檀家の和尚さん呼ぶから」
それならというのだった。
「帰らないならね」
「世知辛いのう、折角たまたま窓を通り抜けて来てやったのに」
「割ってないんだね」
「そんな無粋は真似はしないのだ」
見れば確かに部屋の窓は何ともなっていない。
「安心するのだ」
「そうだね、しかし君何で僕のところに来たのかな」
「お前の幸福を奪いに来たのだ」
アオイはまた胸を張って言ってきた。
「そうしてやるのだ、覚悟するのだ」
「幸福ってね、いま世界中が大変だよ」
西はアオイにその現実を話した。
「戦争が起こって世界中に悪李経が出て」
「それで、なのだ」
「電力、エネルギー不足が言われて物価は高くなってるし」
「人の世は難儀なのだ」
「犯罪起こるし変な人はあちこちで出て来るし」
そうしたこともあってというのだ。
「読売ジャイアンツは今日勝ったしね」
「今シーズン五度目の十連敗の後だからいいのだ」
「巨人が勝つことはそれ自体が不幸なことだよ」
全人類普遍の敵にして永遠の邪悪であるこのチームが勝つことはだ。
「本当にね」
「私はパリーグのオリックスファンだが問題ないのだ」
「山本投手メジャーに行ったね」
「健闘を祈っているのあ、しかしお主の幸福をなのだ」
アオイは西にきっとした顔を向けてあらためて告げた。
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