第一章
[2]次話
海底にあるもの
潜水艇で深海調査を行っていた、その潜水艇の中でだ。
海洋生物学者である川瀬裕孝は自分の師にあたる教授の茶水牧水に言った。
「どういった生きものが見付かるか」
「それが楽しみだね」
「全くですよ」
溌溂とした笑顔で言った、細面で顎は四角く目は小さい。四角い眼鏡をかけて来て黒髪を奇麗にセットしている。
「これからが」
「わしもだ」
茶水も笑顔だった、大きなきらきらした老人らしからぬ目で皺だらけの顔で髪の毛は白く頭の左右にだけある。二人共背は一七〇代で作業服である。
「深海は未知の世界だ」
「今も尚」
「そうだからな」
それ故にというのだ。
「まだまだ多くの生きものが未発見のままだ」
「そして生態もですね」
「わかっていない生きものも多い」
「まだまあ調査が必要であり」
「調査が必要な世界だ」
「そうですね」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「今からな」
「この潜水艇に潜って」
「調査していこう」
「是非共」
こうした話をしてだった。
二人は深海を調査していった、だが。
新種の生きものは発見されなかった、それでも二人はその海域そして海底の調査を進めていった。そしてだった。
その中でだ、茶水は川瀬に言った。
「海域そして海底の地質もな」
「調査すべきで」
「それでだ」
そうであってというのだ。
「今回の調査でもな」
「それを行っていますね」
「そうしているからな」
「このまま調査を続けますね」
「そうしていこう」
新種の生きものが発見されずともだ、こう話してだった。
潜水艇は調査を続けた、海域や地質調査の方は順調で二人はこのことに満足していて共に潜水艇に乗り込んでいるスタッフ達とも上機嫌で話していた。
しかしだ、その中でだった。
ふと潜水艇の右横に見えたもの凝視してだ、川瀬は言った。
「あれは」
「ああ、航空機だね」
茶水もそれを見て言った。
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