第一章
[2]次話
化石のDNA
博物館でティラノサウルスの化石を見てだ、小学生のマイケル=トムソンアフリカ系の背の高い彼は言った。
「若し恐竜が今いたら」
「面白いな」
父で学校で先生をしているギリアムが横から言ってきた、父子はそっくりである。
「そうだな」
「そうだよね」
「ネッシーがそうじゃないかって言われてるがな」
「ネス湖の」
「ああ、スコットランドのな」
アメリカにいて言うのだった。
「あそこのな」
「いたらいいね、けれど恐竜って恰好いいね」
マイケルはこの生きものに今明確な憧れと好意を持った。
「僕大人になったら恐竜について働きたいよ」
「そう思うなら勉強して学者さんにならないとな」
父は息子の夢をここで確認してそれを伸ばすことにした。
「そうしないとな」
「うん、じゃあね」
「勉強するんだぞ」
「そうするよ」
父に笑顔で約束した、そうしてだった。
マイケルはこの時から猛勉強をはじめ名門大学を優秀な成績で卒業し大学で教授をしつつ恐竜のことを研究する様になった。
恐竜についての権威とさえ言われる様になったがそこで若い学者からその話を聞いて思わず言った。
「まさか」
「いえ、そのまさかです」
アジア系の若い学者であるヘンリー=ワンは話した。二人共長身だが一八四のワンの方が十センチ低い。
「今の技術ではです」
「化石にあるDNAを解析して」
「そこからです」
「恐竜を復活出来るのか」
「そうです、恐竜だけでなく」
ワンはさらに話した。
「他の絶滅した生きものもです」
「復活出来るのだね」
「はい」
まさにというのだ。
「今は」
「文明の進歩か、これも」
マイケルは唸って言った、五十代になったが今も少年の頃と目は同じだ。
「凄いことだ」
「全くですね、それでです」
ワンはさらに話した。
「色々な生きものがです」
「絶滅したか」
「復活出来ますが」
「そうなのか」
「教授はこのことにどう思われますか」
ワンはマイケルに真面目な顔で尋ねた。
「復活させるべきでしょうか」
「絶滅した生きもの達をか」
「恐竜も出来ますが」
彼が専門的に学んでいるこの生きもの達もというのだ。
「ティラノサウルスにしても」
「そうなのだね」
「そうですが」
「あまりにも凄い話に驚いている」
マイケルはワンにまずはこう返した。
「だからな」
「今はですか」
「考えさせてくれ」
こう言うのだった。
「そうさせてくれるか」
「そうですか、では」
「時間をくれ給え」
「それでは」
ワンはそれならと頷いた、そうしてだった。
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