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永遠の宴
第一章
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                永遠の宴
 今強く思った。
 酒を飲みつつだ、時の執権時頼はそのうえで言った。
「ずっとこうした宴を開きたいものだ」
「あの、別にです」
 宴の場にいた若い侍が時頼に言った。
「今の宴はです」
「いつもの宴か」
「はい、酒があり」
 杯を手にする時頼に言うのだった。
「肴は味噌の残りとです」
「蕎麦がきだな」
「そうしたです」
「武士の宴だな」
「都の朝廷の方々の宴と比べますと」
 それこそというのだ。
「何でもない。それこそ異朝の帝の宴は」
「本朝にはない様なな」
「開封のそれはこの世のものではない様な」
「そうだな」
 時頼も知っているという返事だった。
「どうやら」
「そうした宴と比べますと」
「いやいや、武士の宴は質素だというが」
 時頼はそれでもと話した。
「こうして宴を開ければな」
「よいですか」
「楽しいであろう」
 飲みつつ言うのだった。
「そうであろう」
「そう言われますと」
 若い侍も頷いた。
「確かに」
「そうであるな」
「楽しいです」
「酒が飲めてこうして話も出来てな」
「左様です」
「それでよい、宴を開いてな」
 そうしてというのだ。
「こうして楽しめるだけでな」
「よいですか」
「そして願わくば」
 時頼はさらに言った。
「その宴がこれからもな」
「続くことですか」
「この鎌倉でもな」
「続けばよいと」
「長くな、永遠に続けば」
 そうであるならというのだ。
「わしは嬉しい」
「この鎌倉で」
「幕府があってな」
「幕府が。幕府はです」
 どうかとだ、若い侍は時頼に言った。
「揺るぎないですが」
「そう思うか」
「はい」
 時頼に淀みなく答えた。
「その様に」
「そうか、しかし世の中わからぬ」
 時頼は達観した様な声で話した。
「御仏の教えでは所業は無常だな」
「滅びぬものはない」
「左様、あの平家も滅んだしな」
 幕府が倒した彼等もというのだ。
「そしてな」
「幕府もですか」
「わからぬ、鎌倉もな」
「どうなるか」
「それはわからぬ、だからこそな」
 それ故にというのだ。
「この宴がな」
「永遠に続く」
「そうなることを願う」
 こう言ってだった、時頼は酒を飲んだ。若い侍はその話をまさかと思いつつ聞いたが家の者にこうしたことを言われたと話した。
 それから時を経てだった、鎌倉は新田義貞の軍勢が攻め入って焼け野原となり幕府も滅んだ、そしてだった。
 若い侍の曾孫にあたる彼はその話を聞いて涙した。
「惨いことだ」
「はい、執権家の方々はことごとくです」
 報を届ける家臣も泣いていた。
「ご自害され」
「相模太郎様はだな」
「五大院めがです」

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