第二章
[8]前話
「その発想がね」
「わからないんだ」
「どうしてこうした発想になるか」
人を果物で描く様なというのだ。
「わからないわ」
「僕が果物が好きで」
兄はそれでと答えた。
「それでね」
「お義姉さんも好きだから」
「どちらも愛しているからね」
だからだというのだ。
「一緒にしたんだ、それに」
「それに?」
「幸せな結婚生活は」
妻とのそれはというのだ。
「果物の様に甘いんだよ」
「そのことも再現しているの」
「そう、それにね」
兄はさらに話した。
「健康にもいいんだよ」
「心の栄養にもなるのね」
「幸せな結婚生活はね」
「果物もビタミン豊富で」
「栄養があるね」
「ええ」
妹はその通りだと答えた。
「確かにね」
「そういうことも表現したんだ」
「だから果物なのね」
「そう、昔もこうした絵はあったよ」
「皇帝の絵だったわね」
「神聖ローマ帝国のね」
この国のというのだ。
「あの絵からもヒントを得て」
「描いたのね」
「奥さんの肖像画をね」
「そうなのね、しかしこうした発想はね」
妹は兄の言葉に頷きつつ話した。
「やっぱりね」
「独特よね」
「芸術だね」
「ええ、ちょっとやそっとではね」
それこそというのだ。
「及びつかないわ」
「芸術だね」
「芸術は人それぞれで」
「その感性が出るよ」
「それで兄さんの感性はこうなのね」
「シュール=リアリズムだよ」
「その感性ね、これもまた芸術ね」
妹はこう言って受け入れた、そしてその絵を売りに出した。その絵は高く売れて兄の芸術家としての評価も高めたことに妹それに画廊で働いている者として喜んだのだった。
妻の肖像画 完
2024・12・24
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