第一章
[2]次話
最終回を知っているか
巨人の星の最終回と聞いてだ、小林佑児小柄で太っていてにこにことした人相で黒髪を短くしている彼は高校の美術部の部室で言った。
「どうなったのかな」
「知らない?」
クラスメイトで友人の芝下治虫が応えた、優しい顔立ちで小林より数センチ背が高く黒髪を真ん中で分けてやや太っている。
「そのことは」
「ええと」
小林は少し考えてから答えた。
「引退したんだよね」
「そうそう、左腕壊れてね」
「大リーグボール三号投げ過ぎて」
「あれしか投げなくなって」
そうしてというのだ。
「それでね」
「遂に壊れて」
「引退してね」
芝下も言った。
「それでね」
「そうだったね」
「それで続編あって」
「新ね」
「終わったと思ったら」
それがというのだ。
「続編があって」
「そっちじゃ右腕で」
「大リーグボール新しいの生み出して」
「底で終わりだった?確か」
小林は芝下に言った。
「アメリカ行ったんじゃ」
「それアニメだよ」
芝下はこう返した。
「アニメだとね」
「アメリカ行って終わりなんだ」
「そう、あのお父さん死んで」
「アニメでちゃぶ台ひっくり返した」
「見事な毒親の」
そう言うべきというのだ。
「あの人がテレビの前に座ったまま」
「遂に死んで」
「めでたいことにね」
その死がというのだ。
「それで主人公はアメリカ行って」
「アニメは終わるんだ」
「新だとね」
「そうだったんだ、何か」
小林はここまで聞いて言った。
「アニメと原作でね」
「終わりが違うね」
「そういうことあるよね」
「あるね、タイガーマスクだって」
芝下は今度はこの作品の話をした。
「そうだったしね」
「原作じゃ主人公死ぬしね」
「子供助けてね」
「自分は死んで」
「マスクを皮に捨てて」
死ぬ間際にというのだ。
「タイガーマスクだったことを隠して」
「死ぬね」
「それがアニメだとね」
「逆にリングで正体公開して」
「それで勝って終わりだよ」
試合にというのだ。
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