第二章
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「ある意味凄いな」
「半分ヤクザ屋さんみたいだな」
「そこまで荒っぽいんだな」
「どの人もな」
「大丈夫かよ、兄貴」
心からだ、英二は哲の話を聞いて言った。
「それで」
「多分な」
「多分ってな」
「まあ安心しろよ」
哲はどの馬がいいかを確認しつつ話した。
「本当に真っ当な会社でな」
「ヤクザ屋さんじゃないからか」
「荒っぽい現場でも犯罪はしてねえしな」
「それ常識だけれどな」
「勤務時間も給料も福利厚生もな」
「しっかりしてるか」
「安全管理も厳しいしな」
それでというのだ。
「周りも荒っぽくても悪い人いないし」
「だから大丈夫か」
「ああ、カタギだからな」
「それならいいけれどな」
不安を感じつつもだ、英二は肉親である兄の言葉を信じることにした。そのうえで彼も彼の仕事であるジムのインストラクターをしていたが。
哲はどんどん柄が悪くなった、外見は殆どその筋の者となっていた。だが。
定時に帰り借金もせず怪しいこともしなかった、そして。
「アクセサリーしても入れ墨は入れないんだな」
「当たり前だろ」
哲は英二と一緒に外に出て焼肉を食べつつ言った、支払いは割り勘である。
「あんなの入れたらな」
「もう表じゃいられないな」
「まともな仕事出来ないからな」
だからだというのだ。
「俺も職場の他の人もな」
「入れ墨は入れないか」
「荒っぽくて柄が悪くてもな」
そうした職場でもというのだ。
「ちゃんと守ってるものがあるんだよ」
「だから入れ墨は入れないんだな」
「カタギとヤクザ屋さん、あと半グレだな」
「その線引きはか」
「してるんだよ、それで仕事自体には真面目にな」
「やってるんだよ」
「そうだよ。だからスーパー銭湯にも行けるからな」
入れ墨を入れていると入られないことが多いがというのだ。
「安心しろよ」
「じゃあ今度一緒に行くか?」
「そうしような」
焼肉を食べてビールを飲みながらそうした話をした、そしてだった。
後日二人は兄弟でスーパー銭湯に入った、そこで英二が見た哲の身体には何もなかった。
哲はそのまま働いていきやがて結婚して子供も出来た、しかし結婚する頃職場の方針が変わり真面目なカラーになり彼も黒髪になりアクセサリーも外した。そうして家族にも真面目なお父さんと認識されるのだった。
入れ墨なんか入れるか 完
2024・12・22
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