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入れ墨なんか入れるか
第一章

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                入れ墨なんか入れるか
 就職した、だがその就職先はガラの悪い職場だったので元々やんちゃだった前島哲はあっという間に染まった。
 態度も姿勢もファッションも悪くなった、太い眉に細い一重の目で茶色に染めた髪の毛にいきった表情で一七七位の痩せた彼にだ、弟の英二顔と体型は兄そっくりだが黒髪をショートにしていて真面目な顔立ちの彼が言った。
「兄貴ガラ悪くなったな」
「そうか?」
「高校時代からそうだったけれどな」
「それでも真面目に働いてるだろ」
 哲は英二にスマートフォンで競馬のことを調べつつ応えた。
「金もそんなに使ってないしな」
「借金してないよな」
「後が面倒だからな」 
 それでしていないというのだった。
「してないよ」
「だったらいいけれどな、ただな」
 弟はリビングで向かい合って座ってテレビを前にしている兄にさらに言った。
「兄貴の職場のこと俺も聞いてるけれどな」
「ガラ悪いっていうんだな」
「ああ」
 そうだというのだ。
「色々聞いてるからな」
「火事場みたいな現場で色々荒っぽくてな」
「そうした職場だからか」
「荒くれ者の場所でな」
「今時そんな場所あるんだな」
「カタギの世界でもな」
「カタギでそうなんてな」
 今にとだ、英二は心から思って話した。
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